インド政府、グジャラート州西部カンドラ港などにグリーン水素ハブ開発計画
(インド)
アーメダバード発
2023年06月13日
2070年までにネットゼロ〔温室効果ガス(GHG)排出量ゼロ〕を目標とするインド政府は、さまざまな経済活動でエネルギー転換に取り組んでいる(2021年11月5日記事参照)。2022年1月に新・再生エネルギー省の下、「国家グリーン水素ミッション」の推進を承認し、インドをグリーン水素(注1)とその関連分野の製造、利用、輸出の世界的ハブとする計画を発表した(2022年3月7日記事参照)。この流れの中、ハルディープ・シン・プリ石油・天然ガス相は「インドは2040年までにグリーン水素、グリーン・アンモニアなどの輸出を含め、需要、生産、消費の全てを行うグリーン水素の世界的主要ハブ拠点となる」と発言している(「フィナンシャル・エクスプレス」紙5月25日)。
この一環として、港湾・海運・水路省(MoPSW)は西部グジャラート(GJ)州の主要港の1つのカンドラのディーンダヤル港で(注2)、新たにグリーン水素ハブの開発を行うと発表した(インド政府広報5月12日)。
ディーンダヤル港湾局(DPA)は、エネルギーパーク用地として2万6,000エーカー(1億522万2,000平方メートル、1エーカー=4,047平方メートル)を割り当て、71億5,000万ルピー(約121億5,500万円、1ルピー=約1.7円)を投資し、グリーン水素製造分野に投資する民間企業のための共用インフラ施設を建設する予定だ。既に同港湾局は、グリーン水素やグリーン・アンモニアの製造、貯蔵、販売に係る民間企業10社から関心表明書(SOI)を受領しているという。(「タイムス・オブ・インディア」紙5月23日)。
インド政府は2024年度予算でグリーン水素を促進するため、総額1,970億ルピーの奨励スキームを発表している。また、MoPSWは港湾分野のエネルギー転換政策として、自律型ゼロエミッション船や、水素燃料電池フェリー、ハイブリッド電気フェリー、タグボート、液化天然ガス(LNG)電気内航貨物船などの導入を進めている。
(注1)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しない。
(注2)今回、ディーンダヤル港のほか、東部オリッサ州のパラディップ港、南部タミル・ナドゥ州トゥトゥクディのV.O.チダンバラナー港(旧トゥティコリン港)の3港が水素貯蔵ハブとして特定された。
(古川毅彦)
(インド)
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