モロッコ、オランダと再生可能エネルギー分野での連携強化で合意

(モロッコ、オランダ、アフリカ、ナミビア、南アフリカ共和国)

ラバト発

2023年06月30日

モロッコ政府は6月21日、オランダ政府とモロッコの公共インフラの開発および資金調達に関する覚書(MOU)を締結し、再生可能エネルギーや水資源、持続可能な産業、健康、農業などの各分野において、開発を資金面でサポートとする投資ファンドの設立に合意した。資金規模は3億ユーロ、期間は3年となっている。モロッコの現地メディアによると、資金の35%が無償援助金のもようだ。オランダのマルク・ルッテ首相のモロッコ公式訪問に合わせて調印式が行われ、ルッテ首相とモロッコのナディア・フェッタハ・アラウィ経済・財政相が署名した。調印式には、モロッコ側はアジズ・アハヌッシュ首相、オランダ側はインベスト・インターナショナル(注1)の代表らが立ち会った。

また、同日に、両国は再生可能エネルギー分野における2国間連携に関するMOUも締結しており、ルッテ首相とモロッコのレイラ・ベナリ・エネルギー移行・持続可能な開発相が合意書にサインした。モロッコはグリーン水素の研究開発に力を入れており、グリーン水素生産に向けて欧州企業などとの連携が進んでいる(2022年11月9日付地域・分析レポート参照)。ルッテ首相は、両国が再生可能エネルギー、特にグリーン水素の分野で役割を担うポジションにあるとし、関連技術やインフラ開発に向けた知識やノウハウの共有による相互連携への期待を示した。

ルッテ首相はまた、モロッコに先立って、ナミビア(注2)、南アフリカ共和国も訪問しており(2023年6月30日記事参照)、モロッコの現地メディアは、今回のルッテ首相のアフリカ歴訪を、アフリカにおける新エネルギー分野でのオランダの足場固めの一環、と報じている。

(注1)オランダ政府系新興国開発金融機関で、オランダ財務省が51%を出資している。

(注2)2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、オランダ政府がナミビアでのグリーン水素の製造に4,000万ユーロを投資すると発表している(2022年11月11日記事参照)。

(本田雅英)

(モロッコ、オランダ、アフリカ、ナミビア、南アフリカ共和国)

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