第1四半期GDPは前期から横ばい

(チェコ)

プラハ発

2023年06月05日

チェコ統計局の5月30日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(季節調整済み)は、テクニカルリセッション(注)入りが確認された前期比で0.0%と横ばいだった(2023年3月6日記事参照)。前年同期比ではマイナス0.4%を記録した。

成長率を需要項目別にみると、民間最終消費支出が前期比マイナス1.2%で、前期のマイナス2.8%より減少幅は縮小したものの、依然として主要なマイナス要因となっている(添付資料表1参照)。総固定資本形成はマイナス1.8%で、前期のマイナス1.1%より減少幅が拡大した。財貨・サービスの輸出は2.5%で、前期の0.5%から2.0ポイント増加した。

産業部門別にみると、金融・保険業(7.0%減)以外は全てプラス成長で、製造業は前期比2.0%増と堅調な伸びを示した。情報・通信業が前期の1.4%減からプラスに転じ、3.7%増と大幅な伸びを記録した(添付資料表2参照)。

チェコ産業連盟は統計局が速報(速報値は前期比0.1%)を発表した5月2日のコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、チェコ経済がテクニカルリセッションの継続を免れた点を強調した。同連盟のボフスラフ・チージェック経済政策部長は「冬期に天然ガス不足や極端な価格高騰など、最悪のシナリオが現実にならなかったことが幸いした」と述べている。ただし「経済は強勢な状態ではない。このことは脆弱(ぜいじゃく)な消費のほか、投資の減少が証明している」と指摘し、2023年に入っても、企業が世界の他地域より高いエネルギー価格や労働者不足、消費の低迷などの問題を引き続き抱えていると説明した。今後の展望に関しては「今後数カ月である程度の改善が期待される」としており、その根拠の1つとして同連盟がチェコ国立銀行(中央銀行)と実施した非金融企業調査の結果を挙げた。同連盟が5月19日に発表した調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、今後1年間の投資が過去1年間より増加すると予測する企業が減少を見込む企業を上回った。受注に関しても、今後半年間の低下を予測する企業が前期の35.4%から21.3%と大幅に減少した。

中銀は5月3日に公表した春季経済見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2023年のGDP成長率について、2月2日発表の冬季見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのマイナス0.3%から0.5%に上方修正している。

(注)2四半期連続での前期比マイナス成長。

(中川圭子)

(チェコ)

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