ソマリアが東アフリカ共同体(EAC)に加盟申請

(ソマリア、ケニア、アフリカ)

ナイロビ発

2023年06月14日

ブルンジの首都ブジュンブラで5月31日に開催された第21回東アフリカ共同体(EAC)首脳会議で、ソマリアの加盟が正式に申請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。EACは申請を受け、加盟にかかる交渉を開始することを発表した。ソマリアは2012年にもEAC加盟を目指したものの、加盟承認にかかる審査は実行されなかった。EACは今回は迅速に審査を行うとしている。

EACは現在、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ブルンジ、南スーダン、コンゴ民主共和国(DRC)の7カ国で構成され、2022年3月のDRCの加盟(2022年4月1日記事参照)により、総人口は約2億6,700万人に拡大した。ソマリアは人口約1,700万人で、1人当たりGDPも447ドル(世界銀行、2021年)と、世界最貧国の1つで、市場は必ずしも大きくない。しかし、海に面さない内陸国を多く抱えるEACにとっては、「アフリカの角」の先端に位置し、広大な海岸線を抱える同国へのアクセスは魅力的だ。また、同国の人口の大半を占めるソマリ系民族はケニアやエチオピア、ジブチなど周辺国にも居住し、総人口は2,600万人を超えているとの推計もある。ケニアのソマリ系民族の人口は280万人と言われており、難民もいるものの、不動産などを多数保有する富裕層も存在する。

ソマリアでは2022年5月に大統領選挙が実施され、ハッサン・シェイク・モハムッド大統領が選出された。現政権は国際社会からの後押しを受けつつ、治安回復を目指しているが、最近では6月9日に首都モガディシュの海岸沿いのホテルで起きた市民殺傷事件など、イスラム過激派勢力アル・シャバーブの活動が活発化している。日本の外務省もソマリア全土にレベル4(退避勧告)を発出している。EAC加盟が実現すれば、加盟国内の移動の自由が保障されることから、周辺国の治安情勢に与える影響が懸念されている。だが、同じく治安問題を抱えるDRC(2022年12月9日記事参照)の加盟も認められたことから、ソマリアのEAC加盟のハードルは既に下がっているとの見方もある。

(佐藤丈治)

(ソマリア、ケニア、アフリカ)

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