西アフリカでコメの生産が増加、自給率の向上を目指す

(アフリカ、コートジボワール、ギニア、マリ、ナイジェリア、セネガル)

アビジャン発

2023年06月26日

米国農務省(USDA)が6月13日に公表した2022/2023年度のコメ(精米ベース)の国別生産見通しによると、アフリカではナイジェリアの生産量が最大となり、年間生産量は536万トンと推計された。次いでエジプト(360万トン)、マダガスカル(282万トン)、タンザニア(220万トン)、マリ(187万トン)、ギニア(167万トン)、コートジボワール(111万トン)、コンゴ民主共和国(101万トン)、シエラレオネ(98万トン)、セネガル(96万トン)と続き、西アフリカ諸国が多くを占めている。それぞれ生産量は、タンザニアを除き、前年比で増加する見込みだ。

一方、輸入量については、2022年は西アフリカ諸国を中心に国内生産量の伸び悩みに伴い、輸入依存が高まっていたが(2022年12月20日記事参照)、USDAの国別輸入見通しによると、アフリカ地域の一部の国を除き、前年比で減少するとしている。

西アフリカ地域は、年間約2,000万トンのコメを消費しており、生産量、輸入量とともにアフリカ最大だ。ナイジェリアは、アフリカ最大のコメの消費国であり、生産国でもある。同国ではコメの自給率100%の達成を目指し、近年、大規模な精米所が相次いで新設されている(推定精米設備能力は600万トン)。精米能力の不足分を輸入米で補っている構図となっていることから、精米能力の向上により現在70%の自給率の改善が期待される。マリは、アフリカの中で最も稲作灌漑が発達している国の1つで、コメの消費は穀物全体の4割を占めている。ギニアは、良好な降雨量と豊富な水資源に恵まれる森林ギニア、沿岸ギニア、高地ギニア地方を中心に稲作が営まれ、耕地面積は200万ヘクタールを超える。

コートジボワールは、アフリカ地域でナイジェリアに次いで輸入量が多く、自給率100%の達成に向けて2025年までにコメの国内生産量を200万トンに増やす計画だが、投入資材の価格上昇や灌漑の不備(耕作地のわずか4%)、精米設備の不足など多くの課題に直面している。輸入量がアフリカで3番目に多いセネガルもまた、コメの消費量が年間200万トンとみられ、消費量が生産量を上回り輸入への依存が高い。政府は、穀物の自給を最優先課題に掲げ、セネガル川流域での稲作促進のための投資と並行して、生産者への奨励制度を導入している。2022年11月に、コメ1キログラム当たり32CFAフラン(約8円、1CFAフラン=約0.24円)の補助金支給を決定し、コメの買い上げ保証価格を162CFAフランに引き上げるとともに、貯蔵倉庫の建設など短期・長期的な対策を講じている。

(渡辺久美子)

(アフリカ、コートジボワール、ギニア、マリ、ナイジェリア、セネガル)

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