世界のコメ貿易、西アフリカでコメの輸入が増加

(アフリカ、コートジボワール、ナイジェリア、インド)

アビジャン発

2022年12月20日

国際コメ統計観測所(OSIRIZ)の12月12日付月報「世界コメ市場」(2022年11月号)によると、2022年の世界のコメ貿易は、西アフリカ諸国を中心にサブサハラアフリカ地域の輸入増加が目立った。西アフリカ諸国では、食生活の変化と人口増加により、コメの国内消費量が増加している一方、国内生産量の伸び悩みに伴い、輸入依存が高まっている。

今回の月報によると、2022年の世界のコメ貿易量は、主要輸出国であるインドがコメの輸出規制を緩和した(注)こともあり、前年比5.6%増の5,450万トンの見通しだ。このうち、サブサハラアフリカ地域の輸入は9%増の1,940万トンと過去最高に達する見通しで、全体の3割強を占める。サブサハラアフリカ地域の中でも、西アフリカ3カ国が約3割を占め、アフリカ地域最大のコメ消費国であるナイジェリアのコメ(籾米)輸入量は、2021年の200万トンから2022年には250万トンに増加するとみられる。次いで、コートジボワールが前年比10万トン増の190万トン、セネガルが前年と同様の水準の150万トンの見込みだ。

これらの国々ではこれまで、コメ輸入依存の是正と自給率の改善に向けて、稲作開発・振興政策を導入し、国内生産の促進に取り組んできた。一方で、イネの栽培はいまだ自然の降雨に依存する天水稲作がほとんどで、依然として天候に大きく左右されることに加えて、機械化や栽培技術の遅れもあり、期待された効果が出ていないのが実情だ。特にコートジボワールでは、コメの自給達成と輸出国を目指して「2020~2030年国家稲作開発戦略(SNDR)」を導入し、2025年までにコメ(精米ベース)生産量を200万トンに増やす計画に着手しているが、コメの消費に生産が追い付かず目標達成は難しい状況だ。

なお、今回の月報では、2023年はアフリカ諸国で収穫量の改善が見込まれることから、コメ輸入量は2.5%減少すると予想されている。

(注)インドは9月8日からコメの輸出制限措置を導入した(2022年10月20日記事参照)が、11月29日にこれを解除している。

(渡辺久美子)

(アフリカ、コートジボワール、ナイジェリア、インド)

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