ルクセンブルク、グリーン水素でポルトガルと連携強化

(ルクセンブルク、ポルトガル)

ブリュッセル発

2023年06月06日

ルクセンブルクのエネルギー・国土整備省は5月30日、ポルトガル政府とグリーン水素(注)の輸入に関する協力覚書を締結したと発表した(プレスリリース、フランス語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。リスボン・エネルギー・サミット出席のためポルトガルを訪問中のクロード・トゥルメス・エネルギー・国土整備相が、同国のデュアルテ・コルデイロ環境・気候行動相と会談し、今回の覚書を通してグリーン水素を含む再生可能エネルギー分野で連携を深めていくことを確認した。

ルクセンブルクは2021年9月に水素戦略を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU加盟国や第三国との連携などを通じて、年間約450トンを消費している化石燃料由来の水素を中期的にグリーン水素に置き換え、2050年までの気候中立を段階的に進めるとしている。

一方、ポルトガルでは、南部シーネス港をグリーン水素のハブとする試みが進められている。カナダとポルトガルの合弁企業ネオグリーン・ポルトガルや、デンマークの投資会社コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズなどが、それぞれ500メガワット(MW)超のグリーン水素プロジェクトに参画。フランスのエネルギー大手エンジーと英国シェルが率いるコンソーシアムも、シーネス港からオランダ・ロッテルダム港までの液体水素のサプライチェーン構築を目指すフィージビリティスタディー(FS)を開始している。

エネルギー・国土整備省によると、今回の合意は、EUでの産業部門に対するグリーン水素の比率目標に関する議論(2023年4月3日記事参照)が後押しした。ポルトガルで製造されたグリーン水素は、ロッテルダム港からルクセンブルク東部のメルテール河川港などを通じて国内に供給することを想定している。

ルクセンブルクは、自国での再生可能エネルギーの発電能力が限定的であることから、第2回北海サミットへの参加(2023年4月28日記事参照)や、アフリカの島国カーボベルデでのFS調査など、周辺・第三国との協力関係の強化を重視している。

(注)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程で二酸化炭素(CO2)を発生させないもの。

(山田泰慎)

(ルクセンブルク、ポルトガル)

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