ACC、国内初となるバッテリーのギガファクトリー開所

(フランス)

パリ発

2023年06月05日

自動車大手ステランティスと、ドイツのメルセデス・ベンツ、フランスのエネルギー大手トタルエナジーズによるバッテリー製造合弁会社オートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)は5月30日、フランス北部オー・ド・フランス地域圏のドゥブラン市郊外に国内初となるバッテリーのギガファクトリー(総敷地面積6万平方メートル超)を開所したと発表した(プレス資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

ビリー=ベルクロー・ドゥブラン工場の各生産ブロックの生産能力は13.4ギガワット時(GWh)で、2030年までに3つの生産ブロックを稼働させ、総生産能力を約40GWhに引き上げる。同工場では現在250人が働くが、2023年中にさらに200人以上雇用を増やす。また、生産能力の拡大に応じて2024年末までに620人、2025年に1,200人、2030年には2,000人に増やしてフル稼働を目指す。

ACCはビリー=ベルクロー・ドゥブラン工場のほかにも、ドイツとイタリアにそれぞれ2025年、2026年に稼働予定のギガファクトリーを建設し(2021年9月9日記事参照)、3つのギガファクトリーを合わせた年間生産能力を2030年までに120GWhに引き上げ、年間250万個のバッテリーを製造する計画だ。

総投資額は73億ユーロに達する見通し。このうち公的資金援助は12億8,300万ユーロで、フランスがBPIフランス(フランス政府公的投資銀行)、オー・ド・フランス地域圏、ヌーベル・アキテーヌ地域圏を中心に合わせて8億4,600万ユーロ、ドイツ当局が4億3,700万ユーロを支援する。

フランス政府は2030年までに年間200万台の電気自動車(EV)生産を目標として掲げている(2022年10月24日記事参照)。ACCのビリー=ベルクロー・ドゥブラン工場に続き、自動車大手ルノーと提携する中国系バッテリー製造エンビジョンAESC、スタートアップ企業のベルコール(2022年2月10日記事参照)、台湾のプロロジウム・テクノロジー(2023年5月18日記事参照)の3社がいずれもオー・ド・フランス地域圏にバッテリー工場の建設を計画する。ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は5月30日、4つのバッテリー工場建設で合わせて1万人の雇用創出が期待できるとした。

(山崎あき)

(フランス)

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