仏スタートアップ、ダンケルクに大規模バッテリー工場建設へ

(フランス)

パリ発

2022年02月10日

フランスでリチウムイオン電池を開発・製造するベルコールは2月1日、同社にとり初めてとなるギガファクトリーをオー・ド・フランス地域圏のダンケルク市に建設すると発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同社は、フランス、スペイン、イタリアで計40カ所の候補地を検討した結果、総敷地面積が150ヘクタールを超えるダンケルク市の建設予定地が、競争力や技術的な実現可能性の面で最適だと判断した。

工場建設に関わる投資額は15億ユーロに達する見通し。2023年に着工し、2025年7月から出荷を開始する予定で、年間生産能力は2025年に16ギガワット時(GWh)、2030年に50GWhとなる。最大で1,200人の直接雇用と3,000人以上の間接雇用の創出が見込まれる。

ベルコールは2020年7月、欧州におけるバッテリー生産の拡大を目的に、欧州イノベーション・技術機構(EIT)傘下のEITイノエナジー、電気機器シュナイダーエレクトリック、建設デベロッパーIDECグループの支援を受けて、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏のグルノーブル市に設立されたスタートアップ企業で、2021年6月には、欧州新車販売の完全電動化を目指す自動車ルノー・グループと資本提携を結んだ(ルノーの出資率は20%)。同社が製造するバッテリー16GWhのうち10GWh(2030年には50GWhのうち20GWh)をルノー・グループのCセグメントおよびノルマンディー圏ディエップ工場で生産されるスポーツカーブランド「アルピーヌ」向けに供給する。

ギガファクトリーの建設に先立ち、2022年中にオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏に、1億ユーロをかけて生産能力100メガワット時(MWh)~150MWhのパイロットラインを併設したベルコール・イノベーション・センターを開設する計画だ。

ベルコールのダンケルク工場は、ルノーと提携する中国系バッテリー製造のエンビジョンAESCのドゥエ工場、自動車大手ステランティスとフランス・エネルギーのトタルエネルジーが合弁で設立したバッテリー製造ACCのドゥブラン工場に次ぎ国内で3つ目の自動車用バッテリー工場となる。いずれもオー・ド・フランス地域圏に設置されることになり、エマニュエル・マクロン大統領は2月1日、同圏が欧州におけるバッテリーの一大生産地となると歓迎した。

(山崎あき)

(フランス)

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