パリ・モーターショー開幕、マクロン大統領がEV補助金増額を発表

(フランス)

パリ発

2022年10月24日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は1017日、同日開幕したパリ・モーターショーを視察し、2030年に電気自動車(EV)の国内生産台数を200万台に引き上げる目標外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの達成に向け、未来投資計画「フランス2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2021年10月14日記事参照)で約50億ユーロの予算を自動車産業振興に充てる方針を確認した。フランスのルノー、欧州ステランティスがEVの国内生産を開始している。大統領は2027年までに年間100万台のEV生産が期待できると述べた。

今回のパリ・モーターショーでは、ステランティス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが「プジョー408」のブラグインハイブリッド(PHEV)版を、ルノー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが「ルノー4」の新型EV「フォーエバートロフィー(4EVER TROPHY)」を発表した。前者はフランス東部ミュルーズ工場で、後者はフランス北部モブージュ工場で生産する予定だ。

ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は17日、同社がフランスで生産するEVのモデル数を6から12に倍増するとし、「ステランティスは発足当時、欧州、特にフランスの自動車産業を保護すると表明し、これが現実となった。われわれの工場は世界の競合企業、特に中国企業と対抗できる技術を持つようになった」と述べた。

マクロン大統領は10月16日付「レゼコー」紙のインタビュー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「フランス製EV購入を推進する産業戦略を展開する」とし、低所得世帯向けにEV購入補助金を2023年に現行の6,000ユーロから7,000ユーロに増額する意向を示した。また、低所得世帯が月100ユーロでEVを利用できる公的リース制度を国内のEV生産拡大に合わせて2024年初頭に開始。さらに、公共用充電器の設置数を20236月末までに現在の7万カ所から10万カ所に増やす。大統領は、こうした施策により、2期目の任期が終了する2027年に新車販売台数に占めるEVの割合は30%に達するとの見通しを示した。

さらに、国内3カ所に建設中のEV用バッテリー工場が近く生産を開始し、2027年のバッテリー自給目標達成も現実味を帯びると述べた。また、リチウムの採掘と回収や電子部品の国内生産に力を入れ、素材・部品の国内調達の強化にも取り組む意向を明らかにした。

(山崎あき)

(フランス)

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