燃料補助金を廃止、ガソリン価格が急騰

(ナイジェリア)

ラゴス発

2023年06月02日

ナイジェリアで5月29日のボラ・ティヌブ大統領が就任式で、燃料補助金の廃止について言及する中(2023年5月31日記事参照)、ナイジェリア石油会社(NNPC)のメレ・コロ・キャリ最高経営責任者(CEO)は翌30日、「連邦政府が燃料補助金の廃止を決定した」と発表した。31日にはNNPCは同日からのガソリン(PMS)価格値上げを承認した。

燃料補助金の予算はブハリ前政権下で、その任期終了後の廃止を想定して、2023年度(暦年と同じ)上半期分のみ予算を計上しており、下半期分の予算は計上されていない(2023年5月9日記事参照)。

これまで補助金廃止の政策実施時期は不透明だったが、大統領就任式後から一部のガソリンスタンドでは値上げの動きが見られていた。この動きにつられて、供給不足やさらなる値上げを恐れ、ガソリンスタンドに長蛇の列ができる買い付け騒ぎも起こっている。

1リットル184ナイラ(約55円、1ナイラ=約0.3円)程度だったガソリン小売価格は補助金の廃止に伴って既に上昇している。場所によって幅はあるものの、6月1日現在ラゴス市内のガソリンスタンドでは490ナイラで販売されており、以前との価格差は約2.5倍だ。今後、ガソリン価格上昇の影響によるバス運賃や輸送コスト増など、物価上昇が懸念されている。

写真 ラゴス市内のガソリンスタンドの価格表示〔5月30日(左)と6月1日(右)、いずれもジェトロ撮影〕

ラゴス市内のガソリンスタンドの価格表示〔5月30日(左)と6月1日(右)、いずれもジェトロ撮影〕

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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