グアナファト州知事、クリーンエネルギーなど最先端分野への投資呼びかけ

(メキシコ、日本)

米州課

2023年06月08日

ジェトロは6月7日、東京でメキシコのグアナファト州経済開発局と共催でメキシコ・グアナファト州投資セミナーを開催した。

冒頭あいさつでメルバ・プリーア駐日メキシコ大使は、日本は戦略的パートナーで、重要な投資先国と強調した。その上で、グアナファト州は世界的な自動車、自動車部品企業が多数進出しており、現在は中央政府と州政府が一体となってクリーンエネルギー、電動モビリティー、リチウムバッテリー生産、航空宇宙産業、半導体などの最先端分野への投資誘致を進めつつあると述べた。

ジェトロ・メキシコ事務所の中畑貴雄所長が自動車産業やニアショアリング(注1)の動向について説明した。中畑所長は「2022年の生産台数は約330万台。2021年から続いている半導体不足が解消されなかった影響で回復が鈍化した」と述べた。ただし「2023年は半導体不足が解消されつつあり、360万台に達する」と予想した。また、中国製輸入車の販売台数が増加している要因として、「中国系メーカーがメキシコ市場参入を本格化させたことに加え、GM(ゼネラルモーターズ)など米系メーカーがメキシコ市場向け小型車を中国から輸入するようになった」と分析した。また、近年注目を集めているニアショアリングに関して、「現在は米国と隣接する北部がその恩恵を受けているが、今後はグアナファト州を含めた中央部も恩恵を受けるだろう」と予想した。その要因として、北部の労働賃金の上昇や、工業団地の空きスペースの不足を挙げた。また「直近では、米国・カナダ・メキシコ協定(USMCA)発効をプラスの影響として捉えている企業が多くなっている。これは、材料部品の現地調達率が高まり、現地で引き合いが増えていることを意味する」と説明した。

グアナファト州のディエゴ・シヌエ・ロドリゲス知事は講演で、同州について「日系企業4社を含む7社の世界的完成車メーカーが進出する自動車関連企業の集積地であり、43の工業団地が存在する」と紹介。また「質の高い労働力、教育機関の充実、インフラの整備、ロジスティクスの優位性がある」とアピールした。次いで登壇したアミスタ工業開発の工業団地部門ゼネラルディレクターのフランシスコ・ロセテ氏は、国内で16の工業団地を運営しており、今後5の工業団地を増設する計画を明らかにした。

講演後、参加者からの質問が相次いだ。特に5月31日に改正された同州財政法の環境税(注2)の運用に関する質問に対して、ロドリゲス州知事は「日本商工会議所を含め、さまざまな企業と意見交換を行った結果、環境保全に取り組む企業を支援するような内容に改定した」と説明している。

写真 冒頭のあいさつをするメルバ・プリーア駐日メキシコ大使(ジェトロ撮影)

冒頭のあいさつをするメルバ・プリーア駐日メキシコ大使(ジェトロ撮影)

写真 グアナファト州の優位性についてアピールするディエゴ・シヌエ・ロドリゲス州知事(ジェトロ撮影)

グアナファト州の優位性についてアピールするディエゴ・シヌエ・ロドリゲス州知事(ジェトロ撮影)

(注1)企業が消費地の近くに生産拠点を移管する動き。メキシコは近年、米国市場向けのニアショアリング先として注目されている。

(注2)グアナファト州政府は5月31日、州官報でグアナファト州財政法の改正令を公布し、翌日施行した。同改正の中で、グアナファト州環境税の内容を変更していた(2023年6月5日記事参照)。

(小西健友)

(メキシコ、日本)

ビジネス短信 5b2d9ee63ad100ac