グアナファト州環境税の改正令を施行、事業者の負担は軽減

(メキシコ)

メキシコ発

2023年06月05日

メキシコのグアナファト州政府は5月31日、州官報でグアナファト州財政法の改正令を公布し、翌日施行した。今回の改正は、2022年11月30日付官報で公布され、同年12月30日付官報により2023年6月以降に適用が延期されたグアナファト州環境税(2022年12月21日記事参照)の内容を変更するものだ。主な内容は添付資料のとおり。同州の環境税については、産業界から、十分な相談もなく急きょ導入されることに対する強い反対があった。州政府は2022年末以降、事業者との対話を進め、州の政権与党の国民行動党(PAN)の議員が中心となって改正案が作成され、州議会の可決を経て今回施行された。おおむね事業者の負担が軽減される内容となっている。

汚染ガス排出(GHG)に係る環境浄化税については、対象となる排出行為が「固定排出源からの直接排出」に限定され、電力調達などを通じた間接排出は除外されることが明確化された。税額も1トンCO2(二酸化炭素)当たり250ペソから45ペソ(約360円、1ペソ=約8.0円)に減額され、年間最初の50トンまで非課税となった。さらに、天然ガスを燃料とするGHG排出については、課税ベースとなる排出量が90%(2023年)~75%(2030年)削減されることとなった。

汚染物質廃棄に係る環境浄化税については、対象となる廃棄物は州政府が管轄する「特別処理廃棄物」に限定され、連邦管轄の「危険廃棄物」は除外される。対象事業所についても、年間10トン以上を廃棄する事業所に限定される。なお、汚染排水などに係る環境浄化税については、2027年4月1日以降に適用されることとなった。

GHG排出の計算方法を明確化、インセンティブは細則公布を待つ必要有り

2022年11月30日付州官報で公布された改正前の州財政法では、GHGの排出を記録する方法や当局への報告制度などに曖昧な規定が多かった。今回の改正により、GHG排出の計測は、汚染物質排出・移転登録(RETC)制度に基づく年次報告書(COA)を作成する際の計測方法に統一され、また、COAの年次報告を環境税の確定申告に反映する方法も明確になった。

現時点で明確になっていないのは、GHGの排出や汚染物質の廃棄を減らした場合に得られるインセンティブ(課税ベースの25%削減)をどのようなプロセスで獲得できるかだ。これについては、グアナファト州財政局(SATEG)が今後、細則を公布することになっている(収財政法第78-Y条)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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