GJ州でタタがインド初のEV向けリチウムイオン電池製造工場設置へ

(インド)

アーメダバード発

2023年06月06日

インドのグジャラート(GJ)州政府は6月2日、ブペンドラ・パテルGJ州首相、ビジャイ・ネラ科学技術省次官の立ち会いの下、タタ財閥グループ企業との間で電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池の大規模工場設置に関する覚書を交わした。

同州政府およびメディア報道によると、タタ・グループの子会社タタ・アガラタス・エナジー・ストレージ・ソリューションズは、GJ州北部サナンド地域にインド初のリチウムイオン電池の大規模工場を設立する。初期段階では約1,300億ルピー(約2,210億円、1ルピー=約1.7円)を投資する予定で、同工場は20ギガワット時(GWh)の生産能力を持ち、1万3,000人の新規雇用を創出する見込み。また、第2期には製造能力を倍増する計画で、3年以内に稼働の予定だ(「ライブ・ミント」紙6月2日)。

同州は、ナレンドラ・モディ首相が掲げる「ネットゼロ〔温室効果ガス(GHG)純排出ゼロ〕」のビジョンに対応し(2021年11月5日記事参照)、EVの100%普及や、2030年までに炭素排出量を50%削減するという目標達成に向けて取り組んでおり、今回の覚書は、中央政府の政策に沿うかたちでGJ州政府が新たに策定した「新エレクトロニクス政策2022-2028」(2023年1月4日付地域・分析レポート参照)による成果の1つとしている。

GJ州政府は、EVの生産を促進、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指しており、脱炭素、エネルギー効率向上、グリーンエネルギーの生産増などを公約に掲げている。EV利用の増加に伴い、リチウムイオン電池への依存度が高まるため、タタ・グループ企業による大規模リチウムイオン電池工場設立は、GJ州およびインド全体のEVエコシステム構築に貢献するものと期待されている。

(古川毅彦)

(インド)

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