日米など6カ国、非市場的政策・慣行への対処で一致

(英国、カナダ、オーストラリア、日本、ニュージーランド、米国、世界)

国際経済課

2023年06月13日

日本の経済産業省は6月9日、英国、カナダ、オーストラリア、日本、ニュージーランド、米国の6カ国による「貿易関連の経済的威圧および非市場的政策・慣行に対する共同宣言」(原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))への支持を発表した。

6カ国は6月8日にOECD閣僚会合が開催されたフランスのパリで閣僚級会合を行った。共同宣言は、5月に広島で採択された「経済的強靭(きょうじん)性および経済安全保障に関するG7首脳声明」(2023年5月23日記事参照)のモメンタムも踏まえたという。6カ国のうちオーストラリアとニュージーランドはG7メンバーではない。

共同宣言はG7の合意と整合しつつ、非市場的政策・慣行に関する具体的な懸念や取り組み方針を盛り込んでいる。懸念としては、過剰生産能力を助長する産業政策・慣行や補助金、国有企業などによる差別的・反競争的な活動、規制の恣意的または不当な適用、強制技術移転、国家が関与する貿易関連の機密情報の窃取、政府による民間への干渉・指示、規制と市場の不十分な透明性を挙げた。

経済的威圧については、定義を定めた上で、多くの場合、政府による正当な規制措置または公共政策上の措置として「頻繁に偽装される」とした。また、国有・民間企業への政府委託や政府による指示によって間接的に行われるケースを指摘している。また、グローバルなサプライチェーン上の強制労働使用についても懸念を表明。強制労働を「経済問題と同時に、重大な人権侵害」と位置づけ、関連する慣行を終わらせることが「道徳的な責務」とした。

一方で、共同宣言は「正当な公共政策上の措置」には適用されないとしている。同措置には、健康・安全に関する規制、環境規制、貿易救済、国家安全保障上の措置と制裁、金融システム・機関の信頼性と安定性を悪用から守るための措置を含む。

宣言では、非市場的政策・慣行を控えるよう全ての政府に要請するとともに、全ての関係パートナーと協働すると述べた。協働には、適切な場合に関係するWTOの委員会や紛争(解決メカニズム)における協力が含まれるという。また、6カ国で非市場的政策・慣行に関する情報などの共有や、ルールに基づく多角的貿易体制を支援・強化するような新たな外交上・経済的手段の開発の追求を行うとしている。

(藪恭兵)

(英国、カナダ、オーストラリア、日本、ニュージーランド、米国、世界)

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