G7広島サミット、経済安全保障の取り組みで一致

(世界、日本、イタリア、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツ、EU、ウクライナ)

国際経済課

2023年05月23日

広島市で5月19~21日に開催されたG7広島サミット(主要国首脳会議)では、ウクライナ支援を含む合意(2023年5月23日記事参照)の1つとして、「経済的強靭(きょうじん)性および経済安全保障に関するG7首脳声明」(原文英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が個別に採択された。

今回のG7首脳会議では、「経済的強靭性と経済安全保障」をグローバルに確保することが経済面における最重要課題の1つに位置付けられた。コミュニケ(原文英語PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)仮訳外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の前文では、同課題へのG7の取り組みとして、(サプライチェーンの)多様化やパートナーシップの深化、デリスキング(リスク軽減)に基づくアプローチにおいて協調することがと盛り込まれた一方、デカップリング(の追求)は明確に否定している。なお、デリスキングの重要性については、2023年3月に欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長が強調している(2023年4月5日記事参照)。

個別声明の概要は次のとおり。

強靱なサプライチェーンの構築

全ての国に「強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則」への支持を促す。重要鉱物、半導体および蓄電池などの重要物資のサプライチェーンを強化していく。供給混乱に対処するため、ストレステストなどから得られた知見とベスト・プラクティスを共有する。

強靱な基幹インフラの構築

デジタル領域などの基幹インフラの厳格な設備評価が必要であることを議論。オープンアーキテクチャやセキュリティー関連についての意見交換を継続する。

グローバルな経済的強靭性を確保するための非市場的政策および慣行への対応

産業補助金、国有企業の市場歪曲(歪曲)的慣行、あらゆる形態の強制技術移転への懸念を表明。既存手段を活用し、必要時に新しいツールを開発する必要性を確認。公平な競争条件をゆがめる非市場的政策・慣行に対処するため、WTOの取り組みを強化する。

経済的威圧への対処

「経済的威圧に対する調整プラットフォーム」を立ち上げ、早期警戒や迅速な情報共有、定期的協議を行う。(威圧の)対象となった国・地域、主体を支援するため、適当な場合に協調する。それぞれの国内では既存手段を活用し、その効果を検証し、必要時に新しいツールを開発する。WTOの取り組みを強化する。

デジタル領域における有害な慣行への対抗

データ管理規制(不当なデータローカライゼーション要求や政府のアクセス許可)への懸念を表明。対抗に向けた戦略的対話を深める。

国際標準化における協力

次世代の技術の形成に向けて、マルチステークホルダー・アプローチに基づく、開放的で自主的な標準策定を支援する。

重要・新興技術の流出防止による国際の平和および安全の保護

輸出管理分野の多国間取り組みを強化していく。輸出管理や対内投資規制を補完するために、対外投資関連措置の重要性を認識。これらの共通の目標に関して民間セクターに明確な情報を提供していく。

(藪恭兵)

(世界、日本、イタリア、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツ、EU、ウクライナ)

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