秦剛外交部長とブリンケン国務長官が北京市で会談、対立のコントロールに合意

(中国、米国)

北京発

2023年06月19日

中国の外交部は6月18日、秦剛・国務委員兼外交部長は米国のアントニー・ブリンケン国務長官の訪中を受けて、北京市で会談を行ったと発表した。

秦部長は「中米関係は国交正常化以来で最悪の状態にある」との認識を示し、このような状態は両国の人々の利益にならず、国際社会の期待にも背くものだとした。

その上で、中国の対米政策は連続性と安定性を保っており、習近平国家主席が提唱した相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンの原則を順守しているとした。また、中国は安定した、予見可能性がある、建設的な中米関係の構築に力を尽くすとした。米国は客観的・理性的な対中認識を持ち、冷静、専門的かつ理性的に突発的な事件を処理することを希望するとした。

秦部長は、台湾問題などの中国の核心的利益と重大な関心事項についても厳正な立場を表明した。

外交部発表による双方の合意事項などは次のとおり。

  • 両国関係全般および重要問題に関し、長時間にわたって率直で深く、建設的な意思疎通を行った。
  • 双方は両国元首によるインドネシア・バリ島での会談(2022年11月16日記事参照)での重要合意を着実に履行し、対立を効果的にコントロールし、対話、交流、協力を促進することに合意した。
  • 双方はハイレベルの交流維持に同意した。ブリンケン国務長官の招きに応じ、秦部長が双方にとって適切な時期に訪米する意向を示した。
  • 双方は両国関係の指針に関する協議を引き続き推進することに同意した。
  • 両国間の文化・教育交流の拡大、旅客便の増加について積極的に議論し、より多くの学生、学者、ビジネスパーソンの相互訪問を歓迎するとともに、これを支援し利便性を向上させることに同意した。
  • 双方は共に関心を有する重大な国際問題、地域問題に関する見方を交換した。

現地報道をみると、6月18日付の「直新聞」は、今回のブリンケン国務長官の訪中は中国からの「招きに応じた」ものではなく、「双方の協議に基づく」ものである点を取り上げ、中国が受け入れ国として来訪に応じたことは、国際的に責任ある態度であり、模範となるものだとした。

6月19日付の「環球時報」は、両国関係の悪化は米国の一方的な誤った政策や行為の結果だとして、フェンタニル問題による中国企業への制裁取り消しなど、改善に向けて米国はやるべきことが多くあるとした。

(河野円洋)

(中国、米国)

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