中国のAI基盤モデル数は米国に次ぐ世界2位、北京市が38個で最多

(中国)

北京発

2023年06月08日

中国メディア「上観」の5月28日付報道などによると、中国科学技術部の次世代人工知能(AI)発展研究センターは同日、北京市で開催された中関村フォーラム・AI基盤モデル発展フォーラムで、「中国のAI基盤モデルの現状に関するレポート」を発表した。レポートでは、中国が開発した基盤モデル数が米国に次いで世界2位となったことを明らかにした。

また、レポートによると、北京市や広東省、浙江省、上海市を中心に14の省・市と地域で基盤モデルの研究開発を進めており、現時点まで発表した10億パラメーター以上を持つ基盤モデル数が中国全体で79個となった。基盤モデル数は北京市が38個で最も多かった。また、開発が最も活発な分野は自然言語処理だった。このほか、基盤モデルの研究開発人材が全体的に不足している中で、当該人材は北京市、江蘇省、広東省、上海市に集中しているとした。AIと基盤モデルの論文の著者に関する統計によると、AI学者指数と基盤モデル学者指数ランキングで、上述した4省・市が上位4位にランクインした。

同分野で存在感の際立っている省・市の1つの北京市は、2019年に中国初の次世代AIイノベーション発展国家試験区として承認され、AI関連技術の研究を積極的に推進し、産業の発展を活発化させている。同市は5月30日、AI分野の優位性を発揮し、同分野の発展をさらに推進するため、「汎用(はんよう)型AIのイノベーション発展を促進するための若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と「国際的な影響力を有するAIイノベーションの創出拠点の建設を加速するための実施プラン(2023~2025年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

措置では、コンピューティングパワー、データ要素、技術、応用分野、監督管理の5つの面で21項目の措置を盛り込んだ(2023年5月23日記事参照)。

実施プランでは、コア技術のブレークスルー、基礎研究の強化、産業エコシステム構築など5つの面で16項目の取り組みを打ち出した。また、2025年までにAI中核産業の規模を3,000億元(約6兆円、1元=約20円)、経済波及効果を1兆元にするほか、AI分野の新しいユニコーン企業を5~10社育成することを目指すとした。

北京智源人工知能研究院の黄鉄軍院長は、2つの政策は北京市がAIのイノベーション発展を引き続きリードする上で重要な意義を持つとコメントした(「北京日報」5月31日)。

(張敏)

(中国)

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