北京市、汎用型AIの発展に向け基盤モデル研究などに関わる措置を発表

(中国)

北京発

2023年05月23日

中国の北京市科学技術委員会、中関村科技園区管理委員会などは5月12日、「汎用(はんよう)型人工知能(AI)のイノベーション発展を促進するための若干の措置(2023~2025年)(意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。5月12日から5月19日までパブリックコメントを実施するとした。

同措置では、(1)コンピューティングパワーの強化と供給の統合、(2)高品質なデータ要素の供給力の向上、(3)基盤モデルの研究と汎用型AI技術のロードマップへのアプローチ、(4)汎用型AI活用の推進、(5)AI産業に対する包括的かつ慎重な管理監督、の5つの面で21項目の措置が盛り込まれた。

(1)については、クラウドサービス事業者などと協力して、北京市における緊急なニーズを満たすことが掲げられており、ほかにも新規コンピューティングインフラを建設することや、統一的なマルチクラウド・コンピューティングの管理用プラットフォームを構築することが打ち出された。(2)では、訓練用の高品質なデータセットの構築や、国家級のトレーニングデータ基地の構築に向けた「国家データ基礎制度先行モデル区」の建設などに取り組むとした。

(3)では、基盤モデルのイノベーションアルゴリズムおよびコア技術の研究を行うことが打ち出され、基盤モデルのトレーニングデータの収集・管理ツールの研究開発を強化することや、基盤モデルの検証基準・ツールをオープン化することなど、5項目の措置が盛り込まれた。

(4)については、行政サービス、医療、科学研究、金融、自動運転、都市ガバナンスの6分野におけるAIの活用を推進するとした。

中国数実融合50人フォーラム(注)専門家の洪勇氏は、同措置は北京市のAI産業の発展において重要な意義を持ち、コンピューティングパワーと高品質なデータの供給力を向上させるほか、北京市のコア・コンピタンス(他がまねできない核となる能力)およびAI産業の核心都市としての地位を強化すると評価した(「北京商報」5月16日)。

北京市経済情報化局が発表した「2022年北京AI産業発展白書」によると、2022年10月時点で北京市にはAI中核企業が1,048社あり、中国全体の29%を占め、全国では1位となった。

(注)中国数実融合50人フォーラムは2022年8月に、デジタル技術と実体経済の融合を推進することを目的として、経済参考報、清華大学戦略新興産業研究センター、中国持続可能発展研究会・イノベーションとグリーン発展専門委員会が共同で設立したシンクタンク。

(張敏)

(中国)

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