アルカルデ労相が新内相に就任、第4次変革を推進

(メキシコ)

メキシコ発

2023年06月22日

メキシコ大統領選挙(2024年)の与党連合内の公認候補を決めるプロセス(2023年6月15日記事参照)に参加するため、アダン・アウグスト内相は616日に辞職した。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は619日の記者会見で、ルイサ・マリア・アルカルデ労働・社会保障(STPS)相を内相に任命すると発表した(大統領府6月19日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アルカルデ氏は、メキシコ国立自治大学(UNAM)の法学学士を取得後、米国カリフォルニア大学バークレー校で法学修士を取得した。連邦下院議員を経て、2018年から労相を務めており、35才の若さで内相就任となった。また、AMLO大統領は620日の記者会見で、ルイサ・マリア・アルカルデ氏の後任として、マラス・ボラニョス雇用・労働生産性担当次官を労働・社会保障相に任命した(大統領府6月20日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。マラス・ボラニョス氏はアルカルデ内相と同年齢で、UNAMの国際政治学部でAMLO大統領の息子と同級生だったとされており、マルセロ・エブラル元外相の私設秘書を経て、雇用・労働生産性担当次官を務めた(「レフォルマ」紙620日)。AMLO大統領は内相と労働社会保障相の任命に関して「メキシコ政府が若者に第4次変革(Cuarta Transformación:4T、注)を推進する機会を与えているのは、メキシコが国民の利益のために根本的な変革を継続するのに必要な世代交代を象徴している」と強調した。

また、メキシコ市のクラウディア・シェインバウム市長も与党連合内の公認候補を決めるプロセスに参加するため、616日に市長職を辞任した。メキシコ市議会は次期市長を賛成多数で、マルティ・バトレス・メキシコ市内務長官を選出した。バトレス新市長は、メキシコ市内務副長官や社会開発長官を歴任した後、与党・国家再生運動(MORENA)の初代全国執行委員長を務めた。2018年にメキシコ市選出の連邦上院議員に当選し、2019年まで上院議長も務めたが、2021年に上院議員の職を辞し、メキシコ市の内務長官に就任していた。

(注)AMLO大統領は、スペインからの独立戦争、レフォルマ(自由主義改革)、メキシコ革命に続く「第4次変革(4T)」を掲げている。前政権の腐敗したエリートによる政治によって国内の社会格差が拡大したと断じ、「国民のための政治」(1980年代以降のネオリベラリズム政策からメキシコの伝統的な社会主義的政策への方針転換)を目指している。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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