5月の物価上昇率は年率5.84%、2021年8月以来の水準に低下

(メキシコ)

メキシコ発

2023年06月12日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)の6月8日付プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、5月の全国消費者物価指数(INPC)上昇率は前月比で0.22%減、過去12カ月の伸び率(年率)は5.84%となり、4月末時点より0.41ポイント下落した。INPC年間上昇率は2023年から鈍化傾向に転じており、2021年8月以来となる5%台まで下落した。5月のコアインフレ率(注)も7.39%まで下落した(添付資料図1参照)。3か月連続の下落となり、インフレ率 (INPC年間上昇率)よりも下落幅は小さいものの、下落傾向が続いている。

非コアインフレ率は年率が1.24%で、1%台まで下落した。農畜産物は4.95%、特に畜産物で前月の8.01%から2.1ポイント低下し、5.91%となった。エネルギー・公共料金も同様に前月の1.08%減から1.83%減になった。一方で、5月の全国生産者物価指数(INPP)は前月比で0.45%減、前年同月比(年率)では0.11%(前月は同1.41%)だった(INEGIプレスリリース6月8日PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

中銀は政策金利維持の姿勢、対ドル為替レートにも影響

メキシコ中央銀行は5月18日に政策金利を11.25%に据え置くことを発表した(2023年5月22日記事参照)。インフレ率の見通しについても、わずかに下方修正し、2023年末時点での見通しは4.7%としている(添付資料表参照)。中銀のジョナサン・ヒース副総裁は6月9日、政策金利の見通しについて「政策金利は、少なくとも11月までは維持されるだろう」とし、インフレ率が予測目標の3.0%(±1%)を達成するまでは「金利引き下げを開始すべきではない」と述べた(「エル・エコノミスタ」紙6月9日)。

インフレ率や政策金利の動きにより、為替レートへの影響も出ている。米国とメキシコの間の金利差、特に実質金利(政策金利とインフレ率の差)の開きにより、2022年12月ごろからペソ高基調が続いており(添付資料図2参照)、6月9日時点で対ドル為替レート終値は1ドル=17.27ペソを記録している。ペソ高基調が今後も続く場合、メキシコ国内の輸出企業に対して影響が出てくる可能性がある。

(注)天候などによって価格変動が大きい農産品やエネルギー価格、政府の方針で決定される公共料金を除いた価格の指数。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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