ジェトロ、調査レポート「米国におけるEV用バッテリーのリサイクル事業の現状と見通し調査」を公表

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月23日

ジェトロは6月16日、調査レポート「米国におけるEV用バッテリーのリサイクル事業の現状と見通し調査」を公表した。

米国のバイデン政権は2030年までに新車の50%以上をクリーンビークル(注1)にするという目標を掲げ、米国を中心としたバッテリーサプラチェーンの構築を念頭に、インフラ投資雇用法やインフレ削減法などに基づく幅広い電気自動車(EV)普及策を打ち出している。これらは既に一定の成果を上げており、新車販売台数に占めるクリーンビークルの割合は2021年4.1%、2022年6.7%、2023年第1四半期(1~3月)は8.6%となった(2023年4月13日記事参照)。

自動車メーカーやバッテリーメーカーはバッテリーの生産計画を相次いで発表しており、国内のバッテリー生産能力は今後数年間で大幅に拡大するとみられる。こうしたバッテリー需要の拡大に伴い、海外からの輸入に依存する重要鉱物を含むバッテリー材料の不足が懸念されており、関連企業は材料の安定調達に向けた取り組みを進めている。また、国内で調達されたバッテリー材料に対して、政府の優遇策が講じられている(2023年4月3日記事参照)。

今回のレポートでは、EV用バッテリーのリサイクルビジネスに焦点を当てている。EV用として主流のリチウムイオンバッテリーに含まれる材料のリサイクル率は高く、最大で95%を達成する企業もある。国内で一定量のバッテリー材料が蓄積し循環すれば、「クローズドループ」(注2)が実現する可能性もあり、EV普及の後押しとなる。同レポートの第1章でリサイクル市場の概要、第2章で連邦政府および州政府によるリサイクル推進策、第3章では主要リサイクル企業の取り組みを紹介している。さらに第4章では、バッテリー材料の調達に関する基礎情報として、米国の課題や輸出入状況、バッテリー材料の国内生産に対する支援策、企業の取り組み事例に言及している。

調査レポートはこちらから閲覧が可能。

(注1)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。

(注2)廃棄されていた製品やその部材などを新たな資源として、無限に循環させること。

(大原典子)

(米国)

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