2023年世界生計費調査、テルアビブが前年に続き中東で最高

(中東、イスラエル、アラブ首長国連邦、トルコ)

中東アフリカ課

2023年06月14日

米国の人事コンサルティング会社マーサーは6月6日、世界227都市を対象に海外駐在員の生計費を比較した「2023年世界生計費調査-都市ランキング」(注)を発表した。中東の都市では、前年に続き(2022年7月12日記事参照)、イスラエルのテルアビブが中東で最も生計費が高く、世界でも8位だった。一方、トルコのアンカラ(世界221位)が中東で最も生計費の低い都市となった。

マーサーは、新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ戦争などが引き起こしたインフレや為替変動が2023年も続き、海外駐在員の給与や貯蓄に直接影響を与えているとしている。世界全体のランキングでは、香港が1位、東京は19位だった。中東の調査対象12都市のランキングは次のとおり(かっこ内は2022年の順位)。

  • 8位:テルアビブ・イスラエル(6位)
  • 18位:ドバイ・アラブ首長国連邦(UAE)(31位)
  • 43位:アブダビ・UAE(61位)
  • 85位:リヤド・サウジアラビア(103位)
  • 98位:マナマ・バーレーン(117位)
  • 101位:ジッダ・サウジアラビア(111位)
  • 110位:アンマン・ヨルダン(115位)
  • 126位:ドーハ・カタール(133位)
  • 130位:マスカット・オマーン(119位)
  • 131位:クウェート市・クウェート(131位)
  • 185位:イスタンブール・トルコ(222位)
  • 221位:アンカラ・トルコ(227位)

上位に入ったイスラエルやUAEでは、特に家賃が高騰しており、ジェトロが2022年9月に実施した「2022年度海外進出日系企業実態調査(中東編)」でも、「不動産賃料の高騰」が投資環境の課題として最多の回答となっていた。中東の多くの都市が前年よりも順位を上げたが、特にトルコは、中東の中では最も生計費が低かったものの、2022年の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年比64%となるなど、高い水準で物価上昇が続いており(2023年1月13日2023年4月18日記事参照)、イスタンブールは前年から37ランクの上昇だった。

(注)この調査は、一般的な物価指数を測るものではなく、企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用するもの。ランキングは2023年3月の住宅や交通、食料、衣料、娯楽の費用などを含む200以上の品目の調査に基づき、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。

(稲山円)

(中東、イスラエル、アラブ首長国連邦、トルコ)

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