3月のCPI上昇率は前年同月比50.5%、市場予測を下回る
(トルコ)
イスタンブール発
2023年04月18日
トルコ中央銀行の発表(4月4日)によると、3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、市場予測を下回る前年同月比50.51%となった。同様に、国内生産者物価指数(D-PPI
)も、2022年10月の157.69%(前年同月比)
から62.45%に低下し、コストプッシュ圧力が緩和している。
3月の全体のCPI上昇率は、前年同月が61.14%と高かったことによるベース効果もあり、予想以上に低い伸びとなった。項目別にみると、特に燃料価格の低下を要因に、エネルギーが前年同月の102.94%から35.66%に抑制された。耐久消費財も、通貨トルコ・リラの安定と国内需要の回復を受け、40.21%(前年同月は68.54%)に抑えられている。食品・飲料は、食肉が上昇しているものの、生鮮野菜・果物の季節調整もあり、67.89%だった。
他方、サービス部門では、不動産賃貸価格が前年同月の15.45%から57.74%と急上昇した。レストラン・ホテル(74.34%)、通信(37.36%)、教育を含むその他のサービス(57.40%)、運輸(70.27%)など、サービス分野で抑制の遅れが目立ち、サービス全体のCPI上昇率は61.64%となった。
D-PPI上昇率も、エネルギーなどの国際商品価格の低下や通貨リラが安定していることから、抑制傾向にある。項目別では、エネルギーが前年同月比で79.99%、前月比では9.32%減に抑えられ、電力・ガスも前年同月比95.46%、前月比では13.28%減となっている。中間財も前年同月比で46.96%の上昇にとどまった。
イスタンブール商業会議所(ITO)が4月2日に発表したイスタンブール市の3月の小売物価の上昇率は、前年同月の63.25%から73.01%に上昇した。また、中央銀行の発表と同時に発表された独立調査機関ENAグループの調査結果によると、3月のCPIは前月比5.08%増、前年同月比112.51%増の上昇とされ、いずれも政府発表からは大きく乖離している。
レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は4月11日、5月14日の大統領選挙に向けた公約で、インフレ率を1桁に引き下げ、成長を後押しするとした(ロイター4月11日)。
(中島敏博)
(トルコ)
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