2022年世界生計費調査、中東首位のテルアビブが世界6位に

(中東、イスラエル、トルコ)

中東アフリカ課

2022年07月12日

米国の人事コンサルティング会社マーサーは6月29日、世界227都市を対象に海外駐在員の生計費を比較した「2022年世界生計費調査-都市ランキング」を発表した。中東の都市では、イスラエルのテルアビブが世界6位で、中東で最も生計費が高い都市となった。一方、トルコのアンカラは世界最下位(227位)で、最も生計費の低い都市となった。

本調査は、一般的な物価指数を測るものではなく、企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用するもの。ランキングは2022年3月の住宅や交通、食料、衣料、娯楽の費用などを含む200以上の品目の調査に基づき、ニューヨークを100とした場合の各都市の指数を比較している。世界全体のランキングでは、香港が1位、東京は9位だった。

2022年の調査対象となった中東12都市のランキングは以下のとおり(かっこ内は2021年の順位)。

  • 6位:テルアビブ・イスラエル(15位)
  • 31位:ドバイ・UAE(42位)
  • 61位:アブダビ・UAE(56位)
  • 103位:リヤド:サウジアラビア(29位)
  • 111位:ジェッダ・サウジアラビア(94位)
  • 115位:アンマン・ヨルダン(94位)
  • 117位:マナマ:バーレーン(71位)
  • 119位:マスカット・オマーン(108位)
  • 131位:クウェート市:クウェート(115位)
  • 133位:ドーハ・カタール(130位)
  • 222位:イスタンブール・トルコ(173位)
  • 227位:アンカラ・トルコ(調査対象外)

テルアビブは例年10位台の順位で推移し、中東で最も生計費が高い都市となっていたが(注)、2022年はさらに順位を上げて世界トップ10入りした。イスラエルでは、2022年2~3月の住宅価格が前年同期に比べてイスラエル全体で16.3%、テルアビブは16.0%上昇し、過去10年間で最も高い上昇率(2022年5月15日付イスラエル中央統計局PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))になるなど、特に住居費が高騰している。

一方、今回新たに調査対象となったアンカラは世界最下位、前年調査では中東で最も生計費の低い都市だったイスタンブールも227都市中222位と、海外駐在員にとって生計費の低い都市となっている。通貨トルコ・リラが対ドルで2021年の1年間で44%下落し、2022年上半期も年初の1ドル=13.42リラから16.66リラになるなど、通貨リラ安が進んだ影響があるとみられる。

(注)2021年調査は例外的に、経済危機により物価が急騰したレバノンのベイルートが全体の3位となり、テルアビブを抜いて中東で最も生計費が高い都市だった。

(稲山円)

(中東、イスラエル、トルコ)

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