4月のGDP成長率は前年同月比3.3%、前年からの反動の影響

(ロシア)

欧州課

2023年06月08日

ロシア経済発展省の発表(5月31日)によると、2023年4月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比3.3%(前月伸び率より4.0ポイント増、添付資料表参照)と、13カ月ぶりにプラスに転じた。2022年のウクライナ侵攻直後に急減した小売りや製造業の反動増が影響した。貨物輸送は引き続きマイナス成長だった。

4月の鉱工業生産は前年同月比5.2%増だった。鉱業の伸び率は前月から6.7ポイント改善し、3.1%増だった。このうち石炭採掘が8.4%増(前月より9.2ポイント増)、金属資源採掘が0.5%増(前月より4.3ポイント増)、鉱業分野のサービス部門が3.6%増(前月より9.7ポイント増)となった。

製造業は一部に前年の大幅減少から反動(ベース効果)の影響があり、伸び率は前月から1.7ポイント改善し、8.0%増だった。前月に続いて冶金(やきん)・金属加工業が11.0%増(前月より2.5ポイント減)が好調に推移したことが製造業を牽引した(2023年5月18日記事参照)。機械製造業は自動車、コンピュータ・電子機器の回復を背景に、14.4%増(前月より4.4ポイント増)で製造業全体の伸びに寄与した。

3月の自動車生産は前年同月比27.3%増、伸び率は前月から34.1ポイント増と大幅に改善した。自動車調査会社アフトスタト(5月4日)によると、4月の乗用車新車販売台数は前年同月比約2.7倍の7万5,622台だった。ブランド別で最も販売シェアが大きかったのは、地場乗用車最大手アフトワズの「ラーダ」(33.4%)、次いで中国自動車メーカー大手の奇瑞汽車の「チェリー」(12.3%)や吉利汽車の「ジーリー」(9.4%)が続いている。

建設業は前年同月比5.7%増(前月より0.3ポイント減)とプラスで推移している。農業も3.2%増(0.1ポイント減)だった。貨物輸送は前年同月比3.0%減(前月より0.3ポイント増)だった。

労働市場は安定しており、4月の失業率は3.3%だった。実質賃金は、3月が前年同月比2.7%増だった。

小売商品売上高は、ウクライナ侵攻後に売上高が大幅に減少した反動増の影響で、前年同月比7.4%増(前月より12.5ポイント増)だった(2022年8月16日記事参照)。しかし、前月比では0.1%減、1~4月でも前年同期比3.6%減で、消費の弱含みが続く。インターファクス通信が取りまとめたコンセンサス予測では、2023年の小売商品売上高の伸び率は1.3%成長とされている(インターファクス通信5月31日)。他方で、経済発展省は5.3%と予測している(2023年4月26日記事参照)。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

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