IBM、南ドイツに欧州初の量子データセンター開設、2024年稼働予定

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年06月22日

IBM66日、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルト市近郊のエーニンゲンに、欧州初の量子データセンターを開設する計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。100量子ビット以上の量子プロセッサーを搭載したIBM製量子コンピュータを複数台設置する。2024年に運用開始の予定だ。

同センターは「IBM量子ネットワーク(IBM Quantum Network)」の欧州クラウド・リージョン(注)として機能する。欧州ではドイツ自動車部品大手ボッシュ、ドイツ連邦軍大学、欧州原子核研究機構(CERN)、フラウンホーファー研究機構など、欧州の60を超える企業や研究機関が同ネットワークに参画している。同センターでは、欧州をはじめとする世界中のユーザーがクラウドベースで量子コンピュータの研究や調査活動を実施できるようになる。

全てのジョブデータはEU域内で処理されるため、EUの一般データ保護規則(GDPR)などの規制の要件を継続的に管理しながら利用が可能だ。IBMは米国ニューヨーク州ポキプシーに量子データセンターを設立しており、IBMの量子データセンターとしては2拠点目となる。

エーニンゲンにはフラウンホーファー研究機構の量子コンピュータ・コンピテンスセンターがあり、20216月、IBM製の量子コンピュータ「IBM Qシステム・ワン」がドイツ国内初の量子コンピュータとして同コンピテンスセンターで稼働している(2021年6月22日記事参照)。ほかにも、量子技術関連の組織「Quantum BW外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の設立など、同州では量子技術分野のエコシステムの構築が進んでおり、同データセンター建設によってさらに拡大することが期待される(2023年5月2日記事参照)。

(注)データセンターが設置されているエリアのこと。

(宮林和夢)

(ドイツ)

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