第1四半期のGDP成長率は前年同期比3.8%に減速

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年06月15日

サウジアラビア総合統計庁(GASTAT)は6月8日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比で3.8%(前回発表の速報値3.9%)となったと発表した。産業別の成長率をみると、非石油事業が5.4%(同5.8%)、政府サービス業が4.9%(同4.9%)、石油事業が1.4%(同1.3%)だった。また、季節調整値の前期比成長率はマイナス1.4%と、速報値(2023年5月9日記事参照)を0.1ポイント下回っている。

経済活動別の成長率では、石油精製部門を除き、年間ベースでプラス成長を達成した。コミュニティ・社会・個人向けサービスは12.9%と最も高い成長率を示し、運輸・倉庫・通信は9.3%、卸売り・小売り・レストラン・ホテルが7.5%だった。石油精製部門はマイナス7.6%となった。

2023年第1四半期のGDPは約1兆50億リヤル(約37兆1,850億円、1リヤル=約37円)。実質GDP成長率への寄与度を経済活動別にみると、石油・天然ガスが26.7ポイントと最も高く、政府サービスが15.3ポイント、石油精製を除く製造業が9.7ポイントとなっている。

IMFによると、サウジアラビア経済は、2023年4月のOPECプラス加盟国による追加減産(2023年4月5日記事参照)により、2023年の実質成長率が2.1%に低下する見込みだ。

またIMFは、原油価格の上昇や、2023年内の強い石油需要への期待、OPECプラスの減産方針変更の可能性、および構造改革と投資の加速がサウジアラビアの成長促進につながる一方、世界経済活動の停滞による原油価格の下落が重要な短期的リスクとなり、化石燃料の需要の急速な変化が、中長期的な成長を妨げる可能性があるとも指摘している。

(林憲忠)

(サウジアラビア)

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