4月前半のコアインフレ率、2022年8月前半以来の低水準に

(メキシコ)

メキシコ発

2023年05月08日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は4月24日付のプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、4月前半の全国消費者物価指数(INPC、注1)上昇率が前年同期比(年率)6.24%だったと発表した。INPC上昇率は2023年1月から減少傾向が続いており、3月は2021年10月以来の6%台を記録した(2023年4月11日記事参照)、4月前半はさらに0.61ポイント低下した(添付資料図参照)。コアインフレ率(注2)をみても、年率7.75%と、2022年8月前半以来の7%台となった。

4月前半のコアインフレ率の内訳をみると、「食品・飲料・たばこ」が年率12.38%で、「食品を除く財」は同6.73%だった。「食品・飲料・たばこ」と「食品を除く財」で構成する「財」は9.73%で、全体を3.91ポイント押し上げる要因となったが、3月前半の数値との比較では、「財」の分野は全て低下している。「サービス」では、レストランや軽食堂、通信、パッケージツアー、医療診察費などを含む「その他サービス」が年率7.02%上昇した。「その他サービス」に「住居関連サービス」(3.65%)、「学校など授業料」(4.88%)を合わせた「サービス」全体としては、年率5.42%で、「財」同様に減少傾向にある。

非コアインフレ率は年率1.82%と、3月前半(同4.15%)から2.33ポイント低下した。「農畜産物」が5.61%、特に「野菜・果実」が2.83%と大幅に低下し、非コアインフレ率の主な引き下げ要因となっている。

中銀は金利引き上げ停止を示唆

コアインフレ率も含め、インフレが収束傾向にあることを受け、中央銀行のビクトリア・ロドリゲス・セハ総裁は「5月の金融政策決定会合で評価する必要があるが、政策金利の引き上げ停止の可能性を評価しても驚くことではない」と述べた。(「レフォルマ」紙4月25日)。他方、セハ総裁は「中銀の金融政策における目的は物価の安定」と強調しており、いまだコアインフレ率が相対的に高止まりしている中で、金利引き上げを実際に停止するのかどうかに注目が集まる。

(注1)国立統計地理情報院(INEGI)によると、全国消費者物価指数(INPC)、ÍNDICE NACIONAL DE PRECIOS AL CONSUMIDORは、メキシコの家計消費における代表的な財・サービスの平均価格の変化を測定。INPCの伸び率はインフレ指標となる。

(注2)インフレを測定する全国消費者物価指数(INPC)のうち、天候などにより価格変動が大きい農産品やエネルギー価格、政府の方針で決定される公共料金を除いた物価指数。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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