日本との経済共創、地場企業からグリーン分野などで意見聴取

(カンボジア、日本)

プノンペン発

2023年05月16日

ジェトロは424日、カンボジア開発資源研究所(CDRI、注1)と協力して、日本とカンボジアが環境に配慮した持続可能な経済(グリーン&サステナブル)をともに構築していくための連携・協業の在り方について議論する、カンボジア産業界との対話を開催した。両機関は、これに先駆けて421日にイノベーションに関する対話も開催していた。両日合わせて、関連する在カンボジア企業・業界団体(注2)の代表者が計30人参加し、意見を交わした。

グリーン&サステナブルをテーマにした会合で、参加者らは、カンボジア社会経済のグリーン化に向け、バイヤーや投資家など産業界が果たす役割は大きく、政策立案などに当たっては特に企業の声(要望)に耳を傾ける必要があると指摘した。そのためには、まずは先行するビジネスベース(B2B)での成功事例の要因などを踏まえ、そうした企業の取り組みの後押しとなるような、関連団体や政府の支援策を整えるのがよいとの意見が聞かれた。また、資源が限られるカンボジアにとって、リサイクル技術の開発・導入に向け、日本と協業できる可能性が大きいとのコメントもあった。

さらに、カンボジアでは既にグリーン分野で複数の日本企業が活躍している。例えば、日本人がカンボジアで経営する飲食店Pizza 4P’sは、リサイクルなどの強化を通じ、店舗から排出される、ごみの「ゼロ」を目指している。また、日系ベンチャーのUNWASPAは、害草の水草を原料としたバイオエタノールや飲酒用ジンを製造している。そして、GOMI Recycle 110は、プラスチック廃材を建設用資材として再生する事業を展開している。

2023年は、日ASEAN友好協力50周年に当たる。これを記念して、ジェトロや経済産業省、日本商工会議所をはじめとする経済界は、将来を見据えた、新しい時代の日ASEAN経済関係の共創の方向性を示す「日ASEAN経済共創ビジョン」の策定を進めている。加えて、2023年は日カンボジア友好70周年の年でもある。ジェトロは、カンボジア経済財政省などと覚書(MOC)を締結しており、投資誘致拡大に向けた政策提言をしていくことが期待されている(2022年11月28日記事参照)。今回の対話でカンボジア産業界から得られた意見については、「日ASEAN経済共創ビジョン」や日本・カンボジアの経済連携に向けた取り組みに生かされる予定だ。

写真 カンボジア産業界との対話の様子(ジェトロ撮影)

カンボジア産業界との対話の様子(ジェトロ撮影)

(注1)主に政策にかかる調査研究や人材開発を行うカンボジアの調査研究機関。

(注2)参加した業界団体は、カンボジア商工会議所(CCC)、カンボジア青年企業家協会(YEAC)、カンボジア元日本留学生同窓会(JAC)、女性起業家協会(CWEA)、カンボジア縫製・製靴・旅行用鞄協会(TAFTAC)、カンボジア製靴協会(CFA)、クメールエンタープライズ(KE)。

(春田麻里沙)

(カンボジア、日本)

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