中銀、政策金利を0.25ポイント引き上げ3.85%に

(オーストラリア)

シドニー発

2023年05月12日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は5月2日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、3.85%とすることを決定した。RBAは4月に利上げの影響と経済見通しを評価するために政策金利を据え置いたが(2023年4月19日記事参照)、今回2カ月ぶりの利上げとなった。RBAは2022年5月から11回の利上げを実施しており、今回の引き上げは2カ月ぶり。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は追加利上げ決定の背景について、「インフレはピークを越えたが、消費者物価指数(CPI)が7.0%〔2023年第1四半期(1~3月)の前年同期比、2023年5月8日記事参照〕は依然として高過ぎる。インフレ率上昇を目標圏内(2~3%)へと戻す重要性を考えると、さらなる利上げが必要と判断した」と説明した。また、新型コロナウイルス感染拡大による供給途絶が解決し、需要と供給のバランスが改善したことで、財価格のインフレ率は緩やかになったが、一方で、サービス価格のインフレ率が依然として非常に高く、広範囲に及んでいるとした。労働生産性が停滞している一方で、労働コストが上昇していることも指摘しており、サービス価格の高騰の一因になっているとみられる。RBAは今後のインフレ率について、2023年に4.5%、2025年半ばに3%となると予想している。

公共放送ABCは(5月2日付電子版)、今回の利上げは金融市場、銀行、借り手に驚きをもたらしたと報じた。直近のCPI(前年同期比)は、ピークとされた2022年第4四半期(10~12月)の7.8%から2023年第1四半期には7.0%へと鈍化しており、エコノミストの大半は、RBAが金利据え置く可能性を予想していた。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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