中銀、1年ぶりに政策金利を据え置き

(オーストラリア)

シドニー発

2023年04月19日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は4月4日、政策金利を3.6%に据え置くと発表した(2023年3月15日記事参照)。RBAは2022年5月から2023年3月まで10回連続の利上げを実施し、合計で3.5ポイント引き上げていた。据え置きは1年ぶりとなった。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は金利据え置き決定の背景について「金融政策(の効果は)は時間差を伴うもので、現時点で利上げによる完全な効果が表れていない」とした上で、これまでの利上げの影響と経済見通しを評価する時間を設けたと説明した。今後については、インフレ率を目標圏内(2~3%)に戻すために、さらなる金融政策の引き締めが必要になる可能性があるとした。

また、ロウ総裁は、月次の消費者物価指数(CPI)などさまざまな指標から判断すると、オーストラリアのインフレはピークに達したとの見方を示した。また、オーストラリアの経済成長は減速しており、今後2~3年の成長も予想を下回るだろうとした。さらに、高金利や生活費の高騰、住宅価格の下落が組み合わさり、家計支出の大幅な鈍化を引き起こす兆候が表れているとした。住宅価格の下落は家計の資産価値低下を招く一方、住宅金利の上昇によってローン返済の負担が増加し、その結果、家計支出が鈍化しているとみられる。

失業率については、約50年ぶりに低い水準で、労働市場は引き続き非常に逼迫した状況が継続しており、賃金は逼迫した労働市場と高いインフレにより上昇を続けている、とロウ総裁は説明した。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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