インフレ率、オーストラリアはピーク越え、NZはサイクロンの影響で食料品など上昇

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2023年05月08日

オーストラリア統計局(ABS)は4月26日、2023年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)が前期比で1.4%上昇したと発表した。2022年は全ての四半期で20年ぶりの高水準を記録したが(2023年2月6日記事参照)、今期は緩やかな上昇となり、2021年第4四半期(10~12月)以来、最も低い上昇率だった。前年同期比では7.0%上昇した。ABSは、ほとんどの物品・サービスで価格の上昇は続いているものの、上昇幅がここ最近の四半期と比較し小さくなっていると分析した。

第1四半期のCPI上昇率(前期比)を項目別でみると、ガス・家庭用燃料(14.3%)、大学教育(9.7%)、休暇国内旅行・宿泊(4.7%)、医療・病院サービス(4.2%)で高い伸びとなった。ガス・家庭用燃料価格は、エネルギー価格の高騰でガスの卸売価格が上昇したことが要因。大学教育や医療・病院サービスについては、2023年初の医療サービス料金や民間医療保険料、授業料などの改定が影響した。このほか、果物や野菜など食品(1.6%)価格も引き続き上昇が続いている。

ジム・チャルマーズ財務相は「今回のABSのデータにより、インフレ率はピークを越え、緩やかな上昇になり始めていることが裏付けられた。年率で見た場合、2022年12月がピークだったことが示されている」と説明した。インフレ率がピークを越えて緩やかになった主な要因として、同財務相は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で上昇していた資源価格の下落や、洪水被害で高騰していた野菜価格、新築住宅価格の上昇が緩やかになったためと分析した。今後については、引き続き政府が目指す水準よりも高いインフレ率が長い期間続くだろうとの見通しを示した。

ニュージーランドでは、前期比1.2%上昇

ニュージーランド(NZ)統計局は4月20日、2023年第1四半期のCPI上昇率が前期比1.2%と発表した。上昇率(前期比)が高かった項目は、アルコール飲料・たばこ(4.1%)、食品(3.7%)、住宅・光熱費(1.0%)などだった。前年同期比では6.7%上昇した。グラント・ロバートソン財務相は「インフレ率は市場の予測を下回ったが、2023年2月に発生したサイクロン・ガブリエルの影響で農作物や車が被害を受け、食料品、特に野菜の価格や中古車価格、保険料が上昇した」と説明した。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド)

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