第1四半期の経済成長率鈍化、輸出は前期に続き減少

(シンガポール)

シンガポール発

2023年05月31日

シンガポール貿易産業省(MTI)は5月25日、2023年第1四半期(1~3月)の実質国内総生産(GDP)成長率(経済成長率)が前年同期比0.4%だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。4月に発表した速報値(0.1%)から上方修正した(2023年4月18日記事参照)が、前期の2.1%から成長が鈍化した。季節調整済み前期比はマイナス0.4%で、速報値のマイナス0.7%から上方修正した。

2023年通年のGDP成長率見通しについては「0.5~2.5%」とする従来の予測(2023年2月14日記事参照)を維持したものの、経済成長率は予測範囲の中央程度にとどまるとの見方を示した。MTIは「米国経済は個人消費と投資の伸びが鈍化することにより、GDP成長率が下半期に大幅に減速すると予測されている」、「ユーロ圏は労働市場の逼迫を背景としたインフレの進行が、さらなる金融引き締めにつながる可能性が高くなる結果、内需が鈍化してGDP成長率も大幅に鈍化する」などとして、シンガポールの2023年下半期の外需見通しが弱まったとの見解を示した。加えて、急激な世界的金融引き締めを懸念して、消費と企業の投資が鈍化していることや、ウクライナ情勢や主要国間の地政学的な緊張などを背景とした世界貿易の鈍化を理由として、世界経済の下振れリスクが高まったとも述べた。国内経済については、インバウンド観光の回復などにより、航空および観光セクターの成長見通しは明るいとしながらも、外需の落ち込みから製造業やその他の貿易関連セクターの経済見通しは悪化しているとした。

地場輸出は減少幅が拡大、2023年通年の見通しを下方修正

MTI管轄下のシンガポール企業庁(Enterprise SG)が同日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした2023年第1四半期の貿易統計によると、第1四半期の財貿易総額は前年同期比7.8%減少し、2022年第4四半期(1.0%減)から減少幅が拡大した。非石油部門の地場輸出額(NODX、注)は16.2%減少(前期は14.0%減)した。特に、エレクトロニクス製品のNODXは急激に減少(25.1%減少)した。2023年通年の財貿易総額ならびにNODXの見通しについては、従前の予測(ともに「2.0%減少~0%」)からそれぞれ「8.0~6.0%減少」と「10.0~8.0%減少」に引き下げた。

(注)自国生産による財輸出で、再輸出を除く。

(糸川更恵)

(シンガポール)

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