IMF、スリランカに対し改革進捗を評価、9月までに債務再編完了を期待

(スリランカ、日本)

アジア大洋州課

2023年05月25日

スリランカ当局は5月9日、スリランカの債務問題を協議するため、インドやパリクラブ加盟26カ国を含む第1回スリランカ債権国会合を開催した(注)。スリランカは、3月20日にIMFが正式に承認した4年間で総額約30億ドルの金融支援パッケージ(2023年3月22日記事参照)を確実に受けるため、債務の持続可能性を達成する必要があり、5月半ばまでに債務再編計画の最終案を提示する見通しとなっていた(2023年4月5日記事参照)

それを受け、IMFのミッションは定期協議のため23日まで同国を訪れており、15日に記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開いた。IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバサン氏は記者団に対し、支援措置承認以降のスリランカの改革進捗状況を評価し、債務再編プロセスが9月までに完了することに期待を示した。

IMFは、債務再編を巡る不確実性が国内の金利上昇を引き起こしていることを認め、国内金利を引き下げ、安定した回復を促す戦略を打ち出すよう、スリランカ当局に働きかけていると述べた。

他方、IMFが債務再編の交渉・プロセスに関与することはないと明言し、いかなる種類の再編でも、国の金融部門の安定性を確保することの重要性を強調した。スリニバサン氏はまた、IMFのプログラムで想定されている改革の恩恵を人々が受けられるようにするには、汚職防止とガバナンスの改革が必要だと発言した。

なお、スリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領(H.E. Mr. Ranil Wickremesinghe)は5月24~27日の日程で訪日中だ。滞在中に岸田文雄首相と会談し、2国間関係や地域、国際情勢について意見交換を行う見通しだ。大統領の訪日で日本とスリランカの友好関係が一層深まることが期待される。

(注)スリランカ最大の2国間融資元の中国はオブザーバーとして参加した。

(寺島かほる)

(スリランカ、日本)

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