IMFの金融支援の承認後初の債権者との会議開催、債務再編プロセスを明示

(スリランカ)

コロンボ発

2023年04月05日

スリランカ政府は3月30日、IMFによる金融支援プログラム(2023年3月22日記事参照)承認後初めての債権者とのオンライン会議を開催した。スリランカ中央銀行と財務・経済安定・国家政策省がIMFの支援プログラム概要とともに、債務再編の具体化に向けた今後のプロセスを説明した。

財務・経済安定・国家政策省のウェブサイトで公開しているプレゼンテーション資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの概要は次のとおり。

  • IMFによる支援は、(1)財政構造改革、(2)公的債務持続性の回復、(3)物価安定性の回復、(4)金融システム安定性の回復、(5)汚職の削減の5本柱からなる。これらに関して、スリランカ当局は金利の引き上げや税制改革、銀行法の改正などを通じ必要事項を履行してきた。
  • その取り組みの結果として、物価上昇速度の鈍化や観光分野の収入回復が示すように、経済が改善する兆候が見える。ただ、依然として全体の経済は脆弱(ぜいじゃく)な状況にあり、公的債務の水準は高く、外貨準備高も低いままだ。
  • 今後は、新たな反汚職法や銀行法、福祉給付金制度に対する議会承認、製品ごとの免税を撤廃したVAT(付加価値税)システムの刷新、固定資産税や贈与税、相続税の導入などに取り組む。
  • それらの構造改革だけでは、公的債務はなお高水準で、不安定な状況が予想されることから、新たな国外からの資金や債務の救済を通じ、対外的な資金不足を補う必要がある。そのため、公的な2国間債権者との間の106億ドル、民間債権者との間の203億ドルの債務再編が必要となる。
  • 加えて、スリランカ当局としては、金融の安定化を考慮しつつ、13兆1,890億スリランカ・ルピー(約5兆4,075億円、1スリランカ・ルピー=約0.41円)に及ぶスリランカ国内債務の自発的な最適化を模索する。
  • 公的債権者に対しては、情報共有を図り、IMFによる債務持続可能性に関する目標と債務再編の原則に沿った合意を確保した上で、合意履行を目指す。
  • 民間債権者に対しては、秘密保持契約の下で情報共有を図るとともに、IMFによる債務持続可能性に関する目標に準拠しつつ、他のカテゴリーの債権者と同等な合意を確保した上で、合意履行を目指す。
  • 国内債権者との債務最適化は2023年5月中に、外国債権者との債務再編は同年9月中に完了することを目指す。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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