米アリゾナ州で半導体・EVの投資誘致ビジネスミッション開催
(米国)
ロサンゼルス発
2023年05月09日
米国アリゾナ州のフェニックス大都市圏経済協議会(Greater Phoenix Economic Council:GPEC)は4月27~28日、半導体と電気自動車(EV)をテーマとする投資誘致ビジネスミッションを行った。今回のイベントは、米国商務省が開催するセレクトUSA(2023年5月8日記事参照)のスピンオフミッションとして実施され、台湾やシンガポール、ニュージーランド、スイス、アイルランドなどから約60社が参加した。日本からは、半導体製造装置メーカーや商社、物流企業など7社が参加した。
アリゾナ州は近年、半導体産業で注目を集めており、半導体製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)とインテルがそれぞれ40億ドルと20億ドルを投資し、最先端の半導体工場の建設を進めている。これに伴い、日本企業も含めサプライヤーによる新規進出や生産設備の拡張が相次いでいる(2023年4月3日記事参照)。
また、EV関連の投資も活発になっており、LGエナジーソリューション(LGES)が55億ドルを投資して同州にバッテリー工場の建設を進めているほか(2023年3月27日記事参照)、新興EVメーカーのルーシッド・モーターズや、電気および燃料電池トラックメーカーのニコラが生産工場を構えている。
今回のミッションでは、GPEC担当者が冒頭に、フェニックス大都市圏の経済概況や企業動向、半導体とEVのエコシステムなどを説明した上で、インテルやTSMCなどの企業関係者が補足するかたちで自社の投資動向を説明した。GPEC担当者は、建設や許認可、移民手続き、不動産、インセンティブ、銀行、労働者の文化がアジア諸国と異なり、特に施設を建設する場合は相当のコストと時間を要する点を強調し、困難に直面した場合はGPECに相談してほしいと訴えていた。
ブリーフィングの様子(ジェトロ撮影)
フェニックス大都市圏では、大規模投資に伴う企業の進出が活発になり、労働力の獲得競争が激化している。これを踏まえ、アリゾナ州立大学やマリコパ・コミュニティ・カレッジ、アリゾナ大学、グランドキャニオン大学、北アリゾナ大学の関係者が登壇し、半導体やEVに関連する人材育成プログラムを紹介する機会も設けられた。また、フェニックスやメサ、チャンドラーなどの投資誘致担当者が登壇し、自らの自治体の誘致施策をアピールするセッションもあった。
視察ツアーも実施され、ミッション参加者はアリゾナ州立大学の半導体関連研究施設(ASU MTW)やEMDエレクトロニック、インテル、Nxuを訪問した。
アリゾナ州立大学の半導体関連研究施設の見学(ジェトロ撮影)
今回のミッションでは、現地企業や訪問先、参加者同士が交流する機会が多数用意された。日本企業の参加者からは、「現地企業や台湾企業との関係を深める中で、自社に関心を持ってもらうことで、ビジネスにつながりそうだ」というコメントが寄せられた。
なお、ジェトロは2022年10月、今回のミッションを企画したGPECの協力の下、半導体関連企業をはじめ、建設会社や物流会社、金融機関などの日系企業27社39人が参加する投資環境調査ビジネスミッションをアリゾナ州フェニックスに派遣している(2022年11月4日記事参照)。
(永田光)
(米国)
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