在外ドイツ企業景況感アンケート結果、向こう12カ月間の景気見通し改善

(ドイツ、世界)

ミュンヘン発

2023年05月09日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は5月3日、在外ドイツ企業に対する景況感の春季アンケート調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アンケートは全世界の在外ドイツ企業の拠点・子会社などを対象に3月20日~4月6日に実施し、5,100社以上(注)が回答した。

向こう12カ月間の現地の景気見通しは、「好転」と回答した企業の割合は28%で、前回の2022年秋季アンケート調査(2023年1月11日記事参照)の17%から増加した。他方、「悪化」と回答した企業の割合は27%で、前回調査の47%から大幅に減少した。DIHKはこの結果から、在外ドイツ企業の景気見通しは楽観的になっているものの、全体として非常に慎重な見方は維持しているとした。

現状の自社のビジネス状況について、「良い」とした企業の回答割合は50%、「悪い」は10%だった。地域別にみると、北米は「良い」の割合が64%、「悪い」が5%と全世界平均に比べて好調だったのに対し、中国・香港・台湾は「良い」が29%、「悪い」が22%となり、他地域に比べて悲観的な見方となった。

他方、向こう12カ月間の自社のビジネス見通しは、地域別で、在中国・香港・台湾の企業は「好転」が51%と、全世界平均の47%を上回った。また、アジア太平洋(中国を除く)では「好転」が56%で、全地域でもっとも高い割合となった。DIHKは、アジア太平洋は(1)中国のゼロコロナ政策の終了で良い影響がもたらされている、(2)中国を代替または補完する投資先として魅力を増したために、このような回答結果となったと分析した。

向こう12カ月間のビジネス上のリスク要因(複数回答可)については、「サプライチェーンの混乱」と回答した企業割合が24%と、前回調査の42%から大きく減少した。ドイツ機械工業連盟(VDMA)が2023年3月に発表したアンケートでも、サプライチェーン逼迫度合いが大幅に改善したとの結果が出ている(2023年4月3日記事参照)。他方、「熟練(専門)労働者不足」との回答割合が前回調査の32%から40%に増加、最大のリスク要因となった。

向こう5年間の地政学的な課題(複数回答可)では、「インフレ/金融政策」との回答割合が54%、「サプライチェーンに対して政治的な影響が強まること」が40%だった。また、調達・販売先の多様化を進める上での課題(複数回答可)では、「適切な調達先・ビジネスパートナーを見つけること」が47%、「法律・規制強化による問題(現地の法律やデューディリジェンス法への対応など)」が34%だった。

(注)業種の内訳は、鉱工業・建設(37%)、サービス(36%)、商業(19%)、その他(8%)。企業規模では、従業員100人未満(48%)、100人以上1,000人以下(17%)、1,001人以上(18%)、不明(18%)。小数点以下処理の関係で合計が100%にならない。

(高塚一)

(ドイツ、世界)

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