3月のカナダ消費者物価指数、前年同月比4.3%上昇
(カナダ)
トロント発
2023年04月19日
カナダ統計局が4月18日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で4.3%上昇と、2月の上昇率(5.2%、2023年3月22日記事参照)を0.9ポイント下回り、2021年8月(4.1%)以来の小幅な上昇率となった。統計局はその要因としてエネルギー価格の下落を挙げ、住宅ローン金利に関するコストなどの増加分が相殺されたとした(添付資料表参照)。
品目別では、食料品は前年同月比8.9%上昇で、2月の9.7%上昇に比べて緩和した。このうち家庭用食品も9.7%上昇と、7カ月連続で2桁上昇していた2月から緩和した。また、住居関連も5.4%上昇したが、2022年11月の7.2%上昇をピークに4カ月連続で上昇幅は鈍化している。このうち、持ち家の建て替え費用(1.7%上昇)の伸びは住宅市場の冷え込みを反映して鈍化したが、住宅ローン金利に関するコストは、政策金利引き上げ(2023年1月26日記事参照)の影響を受けて26.4%上昇し、過去最高の上昇率となった。
一方、3月のガソリン価格は、前年同月比で13.8%減と2カ月連続で下落し、2020年7月以来の下落幅となった。統計局ではこの主因について、ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安の結果、2022年3月にガソリンが前月比で11.8%上昇していたことを挙げている。
発表を受けて、CIBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「インフレは緩和を続けており、年次計算から2022年に記録された月次での最大上昇分が今後も外れていくため、さらに緩和が進むだろう。しかし、2023年後半には2.5~3%の範囲で停滞すると予測する。この範囲であれば、カナダ中央銀行が利上げを思いとどまるだけの低さではあるはずだが、自信を持って金利を緩和できる水準であるとはいえない。当行では、2024年の早い時期に利下げが始まるまで、今年の中銀の政策に変化はないと予想を続ける」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ4月18日)。
中銀の次回政策金利の発表は6月7日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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