デジタル環境における権利保護を強化する改正版権(著作権)条例が5月1日から施行

(香港)

香港発

2023年05月09日

香港で、デジタル環境における著作権保護を強化する「版権(著作権)条例」の改正法が5月1日から施行された(注1)。

本改正法は、廃案となった2014年の改正法案をベースとしている。2021年11月~2022年2月に意見募集を行い(2021年12月6日記事参照)、2022年5月27日に草案を公示。香港立法会(日本の国会に相当)での審議を経たのち、同年12月7日の本会議で可決され(2022年12月19日記事参照)、施行待ちの状態となっていた。

主な改正点は、技術的中立性を有する独占通信権(注2)や当該権利の侵害に対する刑事的制裁、オンラインサービスプロバイダー(OSP)に対するセーフハーバー条項(注3)の設置などが挙げられる。独占通信権に関する規定(注4)の新設によって、不正ストリーミングデバイスやアプリケーション、ウェブサイトなどを通じた著作権違反に対する取り締まりの改善が見込まれる(2022年9月29日付地域・分析レポート参照)。

なお、本施行のタイミングに合わせて、香港知識産権署(HKIPD)は「デジタル環境における著作権保護(Copyright Protection in the Digital Environment)」と題したショートムービー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公式YouTubeに公開した。

(注1)本改正法案の全文はHKIPDのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。

(注2)インターネットの発展に伴い、新しく設けられた電子的送信方式(例えばストリーミング)を踏まえた、公衆へ著作物をあらゆる電子的(すなわち、技術的中立性を有する)方法で送信する独占権利のこと。

(注3)あらかじめ定められた一定のルールの下で行動する限り、違法ないし違反にならないとされる範囲を指す。

(注4)例えば、28A条「公衆へ通信する方式の著作権侵害」、118(8B)条「侵害品等の製造または取引に関する犯罪」、119(3)条「118条に基づく違反に対する罰則」など。

(島田英昭)

(香港)

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