グジャラート州産業開発公社、13カ所に工業団地新設を計画

(インド、日本)

アーメダバード発

2023年05月26日

インド西部グジャラート(GJ)州は5月17日の閣議で、州産業開発公社(GIDC)がラジコット、メーサナ、バルーチなど州内13地域21地区での工業団地新設に向け、予備的な事業化調査(FS)を行うための提案を承認したと発表した。州政府の閣僚と政府報道官でもあるルシケッシュ・パテル氏は州議会で「経済成長達成のためには、急速な産業発展がカギ。ブペンドラ・パテルGJ州首相と(中央政府の)ナレンドラ・モディ首相による先見性のある計画によって、GJ州は雇用創出の先進州として浮上している」と述べ、新たな工業団地開発は州内の若者により多くの雇用を生み出すと強調した(「タイムス・オブ・インディア」紙、「アーメダバード・ミラー」紙5月18日)。

2023年4月現在、GIDCが開発・運営する工業団地は州内に220カ所ある。このうち、日系企業はアーメダバード市周辺の「マンダル日本企業専用団地」、「サナンドII」に多く進出しており、「コーラジ工業団地」にも日本専用区画がある。また、アーメダバード市以外の都市に進出した日系企業も、GIDC工業団地への入居が多い。GIDC工業団地は99年リース契約となっており、リース価格は毎年4月に改定され、2023年4月には約10%の値上げが発表された(2023年5月9日記事参照)。

インド進出を検討する日系企業が工場建設地を決定する際には、(1)顧客からの距離、(2)近隣での原材料調達の可否、(3)適切な工場建設地の有無と価格妥当性、(4)インフラ整備状況、(5)拠点間や市場への接続性、(6)州政府インセンティブ活用の可否、(7)操業に影響する諸規制の有無などを総合的に検討して決定するのが一般的だ。これらパラメーターは中長期的に見れば、あるものは改善され、それに伴って各州・地域の比較優位も当然変化する。ジェトロが最近受ける投資相談の傾向に関しては、進出先を検討するに当たり、インド北部デリー周辺の工業地帯と比較して、土地価格が比較的安価でまとまった土地が確保できるインド南部のタミル・ナドゥ(TN)州やカルナータカ(KN)州、西部のGJ州などに所在する工業団地を候補とする企業が増加傾向にある(ジェトロ・ニューデリー海外投資アドバイザー5月24日)。

GJ州は後発の製造拠点で、日系進出企業数は39社と、TN州(191社)、KN州(226社)と比較して格段に少ないが(在インド日本大使館HP:インド進出日系企業リスト2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、インド西回廊の産業軸の交通要衝にあり、接続性のさらなる向上が期待できることや、西向きの製造輸出拠点となりうること、州政府が日本からの投資誘致に積極的なことなどが特徴として挙げられる。

(古川毅彦)

(インド、日本)

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