バイデン米政権、EV用充電器の普及へ助成金プログラムとコンソーシアム設立

(米国)

ニューヨーク発

2023年05月25日

米国のバイデン政権は5月18日、電気自動車(EV)用充電器の開発などについて、インフラ投資雇用法の下で、総額5,100万ドルの助成金「ライド・アンド・ドライブ・エレクトリック資金」を提供すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、全米で利便性と信頼性の高い充電体験を促進するための「全国充電体験コンソーシアム(チャージX)」も立ち上げた。

前者はエネルギー省(DOE)と運輸省(DOT)による合同事務所が管轄し、後者はDOE傘下のアイダホ国立研究所、アルゴンヌ国立研究所(ANL)、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が主導する。ジョー・バイデン大統領はEV普及に向けて、2030年までに全米に50万基のEV充電器を設置するという目標を掲げている(2022年2月16日記事参照)。今回の資金提供とコンソーシアムの設立により、EV充電ネットワークに対する国民の信頼性を高め、充電器へのアクセスが不足している地域への普及も目指す。

「ライド・アンド・ドライブ・エレクトリック資金」は、充電器の開発を含む次のテーマに関連した事業に対して提供される(かっこ内は対象となる事業数)。

  1. 安定したEV用充電機能の強化(10~15)
  2. EV用充電器の導入に当たって、コミュニティーが主導するビジネスモデルの開発(5~8)
  3. EV用充電に関わる労働力の開発(5~10)
  4. 高出力の充電器の試験や認証に関する業界の能力増強(2~3)
  5. 直流(DC)急速充電器のパフォーマンスと信頼性の検証(2~4)

募集対象は、高等教育機関や営利・非営利団体、州・地方公共団体、先住民族などを含む事業体。応募者は6月16日までにコンセプトペーパーを提出した後、7月28日までに申請書を提出する必要がある。詳細はDOEホームページ内の募集要項外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(DE-FOA-0002881)を参照。

チャージXについては、各研究所がコンソーシアムの参加企業などと協働し、充電器のパフォーマンス評価や、課題の共有と解決策の特定、診断・テストツールの設計などを行う。5月24日時点で、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、ステランティス、リビアン、テスラ、BMWといった自動車メーカーのほか、充電ネットワーク事業者、充電器メーカーなど29の事業体が参加している。コンソーシアムへの参加に関しては、アイダホ国立研究所のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。EV充電器は不具合によって利用できないものも多く、品質の向上や保守点検などが課題となっている(2022年11月22日付地域・分析レポート参照)。

(大原典子)

(米国)

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