岸田首相、海外半導体大手幹部と面談、日本への投資拡大を呼びかけ

(米国、日本、台湾、韓国、ベルギー、広島)

米州課

2023年05月19日

岸田文雄首相と西村康稔経済産業相は5月18日、海外半導体大手幹部と首相官邸で面談を行い、日本国内への投資拡大を呼びかけた。面談には、台湾積体電路製造(TSMC)、インテル(米国)、IBM(米国)、マイクロン(米国)、アプライドマテリアルズ(米国)、サムスン電子(韓国)、imec(ベルギー)の7社が参加した。

日本政府の発表(首相官邸外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます経済産業省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、各社から日本での取り組みに関して前向きな意思表明があったもようだ。西村経済産業相は「各社からの提案について、しっかりと協力・支援できることを検討し、日本の半導体産業が世界をリードしていけるよう取り組む」と述べた。岸田首相は「政府を挙げて、対日直接投資のさらなる拡大や半導体産業への支援に取り組んでいきたい」と述べたほか、翌19日から開催されているG7広島サミットに触れ、「グローバルサプライチェーンの安定化という世界的な課題についても、議長国として議論をリードし、国際的な連携を強化していきたい」として、半導体サプライチェーンの強靭(きょうじん)化についても協議をする方向性を示した。

また、面談に参加した1社のマイクロンは同日、極端紫外線(EUV)技術を活用した「1γ(ガンマ)」による次世代DRAMの製造に向けて、日本政府による支援を前提に、広島県東広島市の同社生産拠点に今後数年で最大5,000億円を投資することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は2022年11月に、「1β(ベータ)」世代のDRAMの量産を開始しており(2022年11月18日記事参照)、βからγにギリシャ文字を1文字進めた今回発表について、複雑なアプリケーションの処理に必要とされる高度な製品の量産の道を開くものだとしている。同日行われた岸田首相とジョー・バイデン米国大統領の首脳会談(2023年5月19日記事参照)でも、岸田首相がマイクロンの投資について触れ、「日米半導体協力の好事例だ」と評価した。日本政府による具体的な助成額は現時点で明らかになっていないものの、ブルームバーグ(5月18日)は2,000億円と報じている。

なお、経済産業省は国内主要産業に対する半導体の安定供給などを目的に、特定の半導体生産施設に対する施設整備費用の一部を助成外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、(1)2022年6月にTSMCなどの熊本県の生産拠点(投資額86億ドル規模)に最大4,760億円、(2)7月にキオクシアなどの三重県の生産拠点(投資額約2,788億円)に最大929億円、(3)9月にマイクロンの広島県の生産拠点(投資額約1,394億円)に最大465億円の助成、などを明らかにしている。

(葛西泰介)

(米国、日本、台湾、韓国、ベルギー、広島)

ビジネス短信 924cd36340fc4984