米上院トップのシューマー議員、中国によるマイクロン製品の調達停止に懸念表明

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年05月24日

米国連邦議会上院トップのチャック・シューマー院内総務(民主党、ニューヨーク州)は5月23日、中国政府が国内の重要な情報インフラ運営者に米国半導体大手マイクロンの製品の調達を停止すべきと発表したことに対して(2023年5月24日記事参照)、「事実に基づいておらず、米国に経済的威圧を与える問題ある行為だ」と懸念を表した。

中国の国家インターネット情報弁公室は3月末に、マイクロンが中国で販売している製品を対象にサイバーセキュリティー審査を行うと発表していた(2023年4月4日記事参照)。5月21日には、マイクロン製品が審査を通過できなかったとして、国内のインフラ運営者に同社製品の調達停止を通達したという経緯だ。シューマー氏は声明で「私はバイデン政権と緊密に連携を取って、中国政府に対してこの種の行動は容認できず、非生産的であることを明確にしていく」とした上で、産業界や同盟・友好国とも協調して、マイクロンに対する中国政府の行為に対応していくとの意気込みを示した。政権からは、国務省のマシュー・ミラー報道官が22日の記者会見で、中国の措置に深刻な懸念を示したほか、商務省が中国政府にバイデン政権の見解を直接伝えていることを明かしている。措置の対象となったマイクロンのマーク・マーフィー最高財務責任者(CFO)は22日、中国政府の懸念が不明確とした上で、「当社の収益に与える影響は、大きく見積もっても全体の1桁台後半に収まる」との見方を示している(ロイター5月22日)。

半導体分野に関しては、バイデン政権が2022年10月に中国向けの輸出管理を強化したことを発端に、米中間の対立は先鋭化した(2022年10月11日記事参照)。2023年に入ってからも、中国の偵察気球問題や、台湾の蔡英文総統の訪米(2023年4月7日記事参照)などを経て緊張が高まっていた。しかし、5月10~11日には、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がオーストリア・ウィーンで、中国の王毅・共産党中央政治局委員と会談を行い、5月末には王文濤商務部長(商務相)がミシガン州デトロイトで開催されるAPEC貿易閣僚会合への出席に合わせて、ジーナ・レモンド商務長官、キャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表と面会する可能性が浮上しており、関係改善に向けた期待が高まっている。今回の件がそうした動きに影響を与えないか懸念される。

(磯部真一)

(米国、中国)

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