マッカーシー米下院議長、台湾の蔡総統と会談、議会超党派での支援強調

(米国、台湾、中国)

ニューヨーク発

2023年04月07日

米国連邦議会下院のケビン・マッカーシー議長(共和党、カリフォルニア州)は4月5日、訪米中の蔡英文・台湾総統を地元カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館に迎え、会談するとともに、「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」(2023年1月12日記事参照)を構成する超党派議員団との会談を行った。

会談後の共同記者会見で、マッカーシー議長は「私の人生において米台間のきずなはこれまでで最も強固だ。蔡総統はそれをもたらした第一人者だ。台湾は民主主義と繁栄する経済の成功例で、健康と科学における世界のリーダーだ」と米台関係を総括した。さらに、経済的な自由と平和、地域の安定を維持する重要性を指摘した上で、「きょうの会談は共和党と民主党が結束した超党派の会談だった」と成果を強調した。蔡総統は「米国の超党派議員の存在と台湾への揺るぎない支援のおかげで、われわれは孤立していないと確信できている」と返した。また、昨今、民主主義が脅威にさらされているとした上で、超党派議員団に対して「台湾は平和な現状の維持に注力することを強調した」と発言した。

マッカーシー議長は別途、特別委員会の超党派議員とも記者会見を行った。同氏は蔡総統との会談を踏まえて、「台湾への武器供与の継続とそれらの迅速な輸送、貿易と技術分野の経済協力強化に行動が必要だ」と強調した。特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党、ウィスコンシン州)は「台湾の友人たちを支援し続ける」「その言葉を今議会の超党派の協力によって行動に変えていく」と意気込みを表明した。第117議会(2021年1月3日~2023年1月3日)の下院議長を務め、2022年8月に訪台したナンシー・ペロシ下院議員(民主党、カリフォルニア州)は「蔡総統とマッカーシー議長との会談はそのリーダーシップ、超党派議員の参加、威厳ある歴史的会場で行われたことから、称賛に値する」と評価する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

バイデン米政権の反応として、国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は、蔡総統の訪問は「異例でも公式でもなく、米政権高官とも会っていないため、中国が威圧的な方法で反応する理由はない」(政治誌「ポリティコ」電子版4月6日)と中国を牽制した。

(磯部真一)

(米国、台湾、中国)

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