第3回IPEF交渉官会合が閉幕、米USTRと商務省が共同声明発表

(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

ニューヨーク発

2023年05月18日

米国通商代表部(USTR)と米国商務省は515日、シンガポールで5815日に開催されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)の第3回交渉官会合の閉幕を受け、共同声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。第3回交渉官会合には第12回と同様、米国からUSTRのサラ・エラーマン首席交渉官兼通商代表補(東南アジア・太平洋担当)代行と商務省のシャロン・ヤン顧問兼首席交渉官が率いる代表団が参加した。

日米を含むIPEFに参加する14カ国は20229月、米国ロサンゼルスで開催した閣僚級会合で(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4分野について交渉目標を設定した(2022年9月12日記事参照)。参加国は202212月に第1回交渉官会合をオーストラリアで、20233月にインドネシアで第2回交渉官会合を行った(2022年12月16日記事2023年3月22日記事参照)。20232月にはサプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の3分野に関する交渉官会合をインドで開催した(2023年2月14日記事参照)。

共同声明によると、第3回交渉官会合では第2回交渉官会合で行われた議論に基づいて交渉を進めた。第2回交渉官会合までに、USTRは貿易分野で扱う貿易円滑化、農業、サービス分野の国内規制、透明性と良き規制慣行、労働、環境、デジタル貿易、技術支援に関する交渉テキストを参加国に共有し、商務省も残りの3分野の交渉テキストを提示している。共同声明では、IPEF参加国は「4分野にわたるさまざまな論点で力強い進展を続けている」と記した。USTRと商務省は、527日に米国ミシガン州デトロイトでIPEF閣僚級会合を開くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、今回は次の閣僚級会合に向けた最後の交渉官会合となった。

写真 第3回交渉官会合の会場の様子(ジェトロ撮影)

第3回交渉官会合の会場の様子(ジェトロ撮影)

USTRと商務省は、これまで提示した各分野の交渉テキストの要約を公開している(注)。貿易分野をみると、デジタル貿易では、データ保護や消費者保護、インターネットや情報通信技術インフラのセキュリティーに関する条項が含まれている。労働については、サプライチェーンにおける強制労働への対処や、労働関連法令に違反した企業の説明責任を追及する仕組みなどが盛り込まれている。また、サプライチェーンの分野では、重要セクターにおける供給網の脆弱(ぜいじゃく)性の特定などでの協力を目指すとしている。

(注)貿易分野はUSTRのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを、サプライチェーン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますクリーン経済外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます公正な経済外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの3分野は商務省のウェブサイトを参照。

(甲斐野裕之)

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