第1回IPEF交渉官会合で交渉テキストなど議論、米USTRと商務省が共同声明発表
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
ニューヨーク発
2022年12月16日
米国の通商代表部(USTR)と商務省は12月15日、オーストラリア・ブリスベンで12月10~15日に開催されたインド太平洋経済枠組み(IPEF)の第1回交渉官会合の閉幕を受け、共同声明を発表した。交渉官会合には、米国からUSTRのサラ・エラーマン首席交渉官兼通商代表補(東南アジア・太平洋担当)代行と商務省のシャロン・ヤン顧問兼首席交渉官が率いる代表団が参加した。
IPEFに参加する14カ国は9月、米国ロサンゼルスで開催した閣僚会合で(1)貿易、(2)サプライチェーン、(3)クリーン経済、(4)公正な経済の4分野について交渉目標を設定した(2022年9月12日記事参照)。共同声明によると、USTRは交渉官会合に先立ち、貿易分野のうち貿易円滑化、農業、サービス分野の国内規制、透明性と良き規制慣行に関する交渉テキストを参加国に示した。参加国はテキストに基づく交渉を通じて、インド太平洋地域で持続可能で包摂的な経済成長を創出する高水準の協定を作ることに前向きな姿勢を示したという。また、USTRは貿易分野で扱う環境、労働、デジタル経済、競争政策、包摂性の項目に関する詳細な概念的議論を行い、同分野の野心的な交渉範囲を強調した。
他方、商務省は交渉官会合の前に、サプライチェーンと公正な経済の各分野のテキスト、クリーン経済の分野に関わる概念的文書を参加国と共有した。参加国は交渉官会合で、各国経済の競争力を高めるために高水準の成果を達成し、具体的な利益をもたらすことを目指し、生産的な意見交換を行ったとしている。
米国代表団は交渉官会合の傍ら、幅広い利害関係者とIPEFの最新状況に関して意見を交わした。米国連邦議会で通商を所管する上院財政委員会と下院歳入委員会のスタッフがUSTRと商務省からブリーフィングを受けたという。連邦議会からはバイデン政権に対し、IPEF交渉で議会との連携を求める声が強まっており(2022年12月5日記事参照)、共同声明では、USTRと商務省はIPEFの交渉が進む中で、利害関係者と議会に定期的に情報を提供し続けると記した。
今後の交渉スケジュールについては、2023年に追加的な交渉官会合を対面で行うとしている。
(甲斐野裕之)
(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)
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