中国、商用暗号管理条例を改正、外資系企業に安全審査も

(中国)

北京発

2023年05月31日

中国政府は5月24日、改正「商用暗号管理条例」を公布外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(文書は4月27日付)。7月1日から施行される。商用暗号の管理などについて定めたもので、1999年の施行以来、初の改正となる。条文数は、改正前の総数27条から総数67条へ大幅に増加した。

改正条例では、適用対象を研究、生産、販売だけでなく、サービス、検査、認証、輸出入、応用などに拡大した(第2条)。また、県レベル以上(注)の暗号管理部門が該当行政区域の商用暗号業務について責任を負い、ネットワーク、商務、税関、市場監督・管理などの政府部門は各自の職責の範囲内で商用暗号の管理業務に責任を負うとし、それぞれの分担範囲を明確にした(第3条)。

同時に、商用暗号の知的財産権保護を盛り込むとともに(第7条)、研究成果の転用と産業化を支援するとした(第8条)

また、第31~34条では貿易管理措置も定めた。国家の安全、社会の公益にかかわり、かつ暗号化保護機能を有する商用暗号は、輸入管理リストに組み入れる。国家の安全、社会の公益にかかわる、または中国が国際的な義務を負う商用暗号は、輸出管理リストに組み入れるとしている。

その他、第50~66条では条例に違反した場合の罰則を具体的に定めた。

外資系企業に直接関係する内容も盛り込まれた。外資系企業の投資過程において、自主原則と商業規則に基づいた商用暗号の技術協力を奨励し、行政機関およびその職員は行政手段を用いて商用暗号技術を強制的に移転させてはならないとしている(第7条)。同時に、外資系企業による電子政府・電子認証サービスが、国家の安全に影響を与える、もしくはその可能性がある場合、外商投資安全審査(2021年1月14日記事参照)を行うとされた(第27条)。

中国社会科学院法学研究所の周漢華副所長は、改正条例により核心的暗号、普通暗号、商用暗号という暗号法(注2)における分類のうち、商用暗号に関する制度が体系的に定められたと評価した(「司法部ウェブサイト」5月24日)。

西安交通大学の馬民虎教授は、貿易管理に関する条文においてエンドユースおよびエンドユーザー確認が求められているのは、商用暗号をテロや違法な武装勢力の活動に使用させないためだとした(「同上」5月29日)。

(注1)省・直轄市・自治区、地級市に続く行政単位。

(注2)中国では暗号管理全般についての法律として、2020年1月1日に「暗号法」が施行されている。

(河野円洋)

(中国)

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