タイFDA、青果物輸入時の残留農薬検査のオペレーション変更を検討

(タイ)

バンコク発

2023年05月01日

タイ保健省食品医薬品局(FDA)は4月3日、輸入食品の管理に関する方針決定のための意見交換を行ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。意見交換は2023年3月29~31日に行われ、全国の食品医薬品検査所のほか、農業協同組合省農業局、植物検疫所、財務省関税局、民間企業の代表者が参加した。

発表によれば、意見交換は、食品輸入時に、残留農薬などの検査結果が出るまでは食品を留置し、検査合格後に開放する「Hold Test Release」の実施に向けた方針決定を目的として実施された。

FDA長官パイサーン・ダンクム氏の発言要旨は以下のとおり。

  • 消費者が安心できるように、全国の食品医薬品検査所は、輸入された健康製品(注)の品質、標準、安全性を管理する責任がある。
  • FDAは、特に残留農薬の問題がある食品(野菜・果物)に対し、「Hold Test Release」の管理措置を開発している。法を順守する輸入業者に対しては迅速に通関手続きを行う。
  • FDAはこの意見交換の結果を活用し、食品医薬品検査所で行われる輸入食品管理「Hold Test Release」の方針を決定する。

青果物の輸入に関しては、現在も輸入通関時の残留農薬検査が実施されている(2021年7月7日記事参照)が、一部を除いては、検査結果が判明する前であっても商品を流通させることが可能(留置なし)となっており、仮に基準値を超える残留農薬が検出された場合には、商品を回収することで対応している。このことについて、タイ国内の消費者団体は、検査結果が判明するまでの間に既に消費されてしまっている可能性も排除できないとして見直しを求めていた。

「Hold Test Release」の実施方針が決定され、青果物輸入時の残留農薬検査のオペレーションが変更されれば、残留農薬検査結果が判明するまで青果物が留置される可能性がある。

タイ輸出支援プラットフォームがFDAに問い合わせたところ、「Hold Test Release」が実際に実施されるのか、また実施される場合の対象範囲などは検討中とのこと。

(注)FDAの「健康製品」には、食品のほか、医薬品、化粧品、医療機器などが含まれる。

(谷口裕基)

(タイ)

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