江蘇省の中欧班列、運行規模が拡大

(中国)

上海発

2023年05月29日

中国の江蘇省蘇州市、南京市、連雲港市、無錫市、徐州市を発着する中欧班列(注1)は、それぞれ安定的な運行本数を維持し、新しい路線も開設されている。

2023年1~4月に、蘇州市を発着した中欧班列の運行本数は前年同期比16.4%増の163本で、16.4%増の1万3,420TEU(20フィートコンテナ換算)を取り扱った。貨物重量は41.3%増の12万9,000トン、輸出入額は9.5%増の7億5,300万ドルとなった。また、蘇州市に向かう復路の列車は47本運行され、60.3%増となった。

南京市を出発し中央アジア諸国へ至る中欧班列は、2014年の運行開始から累計545本が運行された。2021年から2023年4月末までの、南京市と中央アジア諸国間の輸出入額は累計3億5,400万ドルに達した。2022年10月には、中央アジア諸国から南京市へ至る復路の路線が新たに開設され、累計17本運行された。また、南京市からベラルーシ・ミンスクに至る列車が新たに運行を開始し、一番列車は南京市の企業が生産したドラム式洗濯機や、ギアボックスを搭載して出発した。

連雲港市には、中国とカザフスタンが共同で立ち上げた「中哈物流基地(注2)」が位置しており、カザフスタンにとって重要な海への出口となりつつある。税関などの情報によると、カザフスタンが中国を経由して輸出入する主な貿易品(注3)の8割超が連雲港市を通じて取引されている。

1~4月において、無錫市を発着する中欧班列は1,010TEUのコンテナ貨物を輸出し、輸出入額は2億9,000万元(約58億円、約1元=約20円)を超えた。3月には、無錫市に向かう初の復路便がカザフスタンを出発し、輸入作物を搭載した100本のコンテナが輸送された。

2023年第1四半期(1~3月)に徐州市を発着する中欧班列は累計111本(前年同期比10.4%増)となった。2022年に比べて、運行規模や往復割合は上昇傾向にあり、サプライチェーンの強化にもつながっている。

(注1)中国と欧州やロシアなどの「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車。

(注2)連雲港市政府とカザフスタン鉄道が共同で建設した物流ターミナルで、「一帯一路」構想に関する初の実体的なプロジェクトとなっている(2016年6月10日記事参照)。

(注3)カザフスタンは連雲港を通じて、主に日用消費財などを輸入し、鉱物資源や食糧などを輸出している。

(尹世花)

(中国)

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